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第19話

「いや、マジきつい……」  湯を腹の中に入れて、排出する。繰り返してやっとの思いでトイレから脱出してきた雄大は、のろのろと洗面器を風呂場に戻した。  試してみる、と意気込んでいたけれど、気力が一気に失われた感じだ。 (やる前にこんなしんどいとかある?)  女の子とエッチするときとは段取りが違いすぎる。まあ、女子とするときには雄大は入れる側なのだから、違うのは当たり前なのだけれど、とにかく準備が恐ろしく大変だった。 「はぁ……。やるか」  しばらくの間、ベッドに転がって放心状態となっていた雄大だったが、男同士でしている人もいっぱいいるのだ。あまり聞いたことはないけれど、している人がいるのだから、しんどいだけではないはずだ、と気を取り直して雄大は起き上がった。 (まずは、これか)  買ってきたグッズの中から、チューブ型の入れ物を手に取り、ふたを開けてみる。入れ物を押してみると、ぬるりとした液体が先から垂れてきた。 「うわっ……、あぶね……。って、そっか、服、服脱いだほうがいいな」  零れ落ちそうになった液体を手で受け止め、入れ物をテーブルに置いてティッシュを抜き取る。ぬるぬるとした液体をティッシュで拭って、雄大はズボンと下着を下ろした。ジェルの入れ物を手に、ベッドに横になる。足を開いて、そっとジェルを後孔につけてみた。 「っ……」  冷たくて、気持ち悪い。こわごわ尻の穴を指先でなぞって、そっと指の先を入れてみる。 「ぅ……、っ……」  ほんの少し、指先を入れただけなのに、異物感がある。指を抜き取り、ジェルを足してもう一度中に突っ込んでみたが、とてもではないが気持ちいいとは思えなかった。  わかりやすく表現するなら、座薬を入れられている感覚だ。思っていたより不快感が強い。うぅ、と呻きながら、指を抜き差ししてみる。  雄大は初心者なのだ。サイトにもはじめは違和感があったり、異物感があったりするかもしれないと書いてあったし、いきなり初日から気持ちよくはなれないのだろう。 (やっぱ、ケツだけじゃ無理だよな)  後孔に入れていた指を抜いて、少し起き上がった雄大は、携帯に手を伸ばした。もう一度サイトを開き、確認してみる。 (最初はあんま、動かさないほうがいいのか)  説明どおりに指を入れて、止める。携帯をベッドに置いて、右手で雄を撫でてみた。当たり前だが、自慰をしたことくらいある。雄を掴んでゆるゆると扱いてみたら、慣れた心地よさがやってきた。  ふにゃりとしていた雄大の雄は、手を動かすのに合わせてむくむくと大きくなってくる。雄が完全に勃ち上がって、雄大が息をつめたとき、自然と尻の穴が締まった。 「んっ……」  中に入っていた指がきゅっと締めつけられる。おそるおそる指で中を弄ってみたら、ぞわりとした不思議な感覚がした。気持ち悪いとも違うし、気持ちいいとも違うのだけれど、なんというか腰が引ける感じだ。 「ぅ、ぁ……、はっ、っ……」  右手で雄を扱きながら、指をくいくいと動かしてみる。まだ、気持ちいいとは思えない。けれど、雄はもう限界に近づいていた。 「っ、あぁっ……、っ――、は、ぁ……」  達することができそうだ、と感じた瞬間、尻に力が入った。ぎゅうと強く指が締めつけられる。びくりと身体を丸めて、手の中に精を吐き出す。尻に入れていた指も抜き取って、汚れた手をティッシュで拭いた。 「……うん。まあまあ、かな」  むくりと起き上がって雄大は言った。  達することができたのは、雄を触っていたからだ。尻の感覚だけではどう考えても気持ちよくはなれない。けれど一瞬、ほんの一瞬だけれど、達した瞬間に中に入れていた指を強く感じた。どう表現すればいいのかはわからないが、今までに味わったことのない独特の感覚だった。快感とまではいかないが、悪くはなかった、ように思う。 (手、洗いにいこ。……てか、次伊織いつ休みだろ?)  立ち上がった雄大は、練習すればよくなるのかな、などと思いながら風呂場に向かった。 ***

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