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第31話
「いっ……、どうした? 痛いのか?」
思いきり掴んだからだろう。伊織が顔を顰める。
「あ、っ……、えっと……」
この感覚を伊織にどう伝えればいいのだろう。痛いとは思っていないし、やめてほしいとも思っていないのだけれど、とにかく、中がむずむずする。
「……雄大?」
心配そうな顔で声をかけられて雄大は言った。
「ケツが……、なんていうか、ヤバイ……」
「は?」
「いや、だから! ケツの中が、マジで、おかしいんだって! だから、ちょっと、って、あぁっ……、伊織っ! 待てって! ま、うあぁっ……」
「っ……、悪いっ……」
止まってくれと言ったのに、伊織がとった行動は真逆だった。ずるりと雄大の中に入っていた雄が抜けたかと思ったら、変だと感じた壁をまた抉られる。伊織の雄が壁を擦るたびに声が出て、止まらなくなった。
「やっ、ぁ、待ってって、伊織っ……、あぁっ……」
(マジで、無理っ……、死にそう……)
伊織の肩を掴んで、刺激に耐える。何度も穿たれて、雄大は伊織にしがみついた。腹の中がじゅくじゅくする。指でされたときに似ている、けれど、もっと強い感覚を尻の中に感じて、雄大は「無理っ」と訴えた。
「ぅっ……、何、もう、ヤバイ? イキそう?」
達してしまいそうなのかと伊織に聞かれたが、どちらかと言えば漏らしてしまいそうな感じだ。前とは感覚が違う。
「ぁ、ぁ、わかんなっ、っ……、あぁっ、そこむ、りっ……、あ、うあぁ――っ、や、やめっ……」
限界だ、と感じた瞬間、尻にぎゅうと力が入った。締まった中で伊織の雄がずりと擦れる。
「はっ……、きっつ……」
「ぁっ、ぅ、ぁ……、や、ぁ……、も……」
(すげぇ、ふわふわする)
指で擦られたときも浮いたような感じがすると思ったが、それ以上だ。頭がぼぉっとして、ずっと浮かんでいるみたいな感覚がする。頭の中はそんな感じなのに、伊織に穿たれている尻の中は熱くて、変な感覚だ。
「……雄大、こっちも……」
はぁ、吐息を吐いた伊織の手が腹の間に入ってくる。屹立に触れられて、腰が浮いた。
「ちょ、伊織っ! いま、ぁ、あぁっ……」
屹立に絡みついてくる伊織の手。急激に強くなった刺激。下腹あたりが重くなって、ああ、出るな、と思った。ずり、と中を擦られて、息をつめる。耳の近くで、伊織が呻く声が聞こえた。
「っ、雄大、達って……、オレも、もう……」
「あ、イ、あぁっ……、イく、伊織っ……、で、ああぁっ――っ……」
伊織の手に腰を押しつけるみたいにして、雄大は熱を吐き出した。見知った快楽に力が抜ける。伊織を抱きしめていた手が、だらりベッドに落ちた。
「ぅ、ゆうだ、い……、はっ、俺もっ、ぅ、ぁ――っ……」
ほとんど時間を空けずに、雄大の上で身震いした伊織が動きを止める。
(マジ、めっちゃ気持ちいじゃん)
上半身は、真綿に包まれたような感覚。けれども、伊織を受け入れている直腸は熱くて、じくじくして、熱が残っている。
「ぁ……、ちょ、伊織っ……」
ゆっくりと伊織が身体を起こす。熱を持った壁を擦りながら抜けていく感覚に、また身体が震えた。
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