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第9話

今日は花嫁さんたちのお茶会に参加する。 どんな人たちだろ。 「セナ、俺から離れるなよ」 「わかってるって。離れたらどーなるか体験済みだし」 首輪をされてからは、ゼロがずっと俺を抱き上げっぱなしだった。 いい加減自分で歩かないと脚が鈍るって言って下ろしてもらった時、ほんとに締まるのか試そうと思ってゼロから3歩離れてみたんだけど、あれはもう二度と体験したくない。 首輪が締まって苦しいだけじゃなく、全身にビリビリって電気が流れた感じがして、立てなくなって・・・。 有ろう事か、俺は発情状態になった。 ほんと何なのあれ、最悪だよ! 自分から強請(ねだ)るなんて・・・屈辱だ・・・。 「ねえ、お茶会の間だけ、首輪外して・・・」 「だめだ」 だめかー・・・。 「お、来たか。お前は絶対来ないと思ってたんだがな」 転移魔法で召喚の塔に行くと、真っ赤な髪をした恐そうな人に出迎えられた。 南の魔王様らしい。 他にも、緑の髪の西の魔王と、黒髪の東の魔王がゼロに声をかける。 「北の花嫁は脚がお悪いのですか?」 優しい紳士風な西の魔王が、ゼロに姫抱きされてる俺を気にかけてくれる。 あ、いや、違うんですこれは・・・。 「あ、首輪されちゃったか・・・可哀想に・・・それじゃ北の魔王から離れられないよな」 「あ、はい、そんな感じです・・・」 首輪に気付いた南の魔王に同情され、西の魔王にも憐みの目を向けられ、東の魔王はため息をついてた。 魔王同士は意外と仲が良いみたいだ。 お互いの性格とかわかってるみたい。 「君が北の花嫁?初めましてーよろしくねー」 「あ、どおも」 俺以外の花嫁さんたち・・・も、やっぱり皆男だった。 3人とも20代の元社会人。 学生は俺だけだ。 しかも3人ともモデルみたいに高身長でスタイル良くてイケメン・・・。 ここでも俺はチビなのか・・・。 こっちの世界に召喚される前の話をしていて、俺たちは共通点があることに気付いた。 みんな家族がいない、所謂(いわゆる)天涯孤独。 俺も含め、実はそんなに元の世界に帰る事にこだわっていなかった。 まあ、男であるにも関わらず、メスにされてしまったのは非常に遺憾ではあるが。 「お前が最初の召喚で花嫁たちに興味なかったのは、こーゆー子が好みだったからか」 南の魔王が、クッキーを頬張っていた俺の頬をつついた。 あ、やば・・・。 「セナに触れるな!」 膝上に鎮座していた俺をがばっと抱き上げて立ち上がるゼロ。 そうだった、今は俺がゼロの逆鱗なんだった、油断した。 「ぜ、ゼロ、落ち着いて、暴れないでっ」 ゼロの首にしがみついて(なだ)める。 やばいやばい、部屋の温度が急降下しただけじゃなく、氷の粒が舞い始めてる。 これ吹き荒れたら怪我するやつ。 「悪かった、もー触らない、(ゆる)せ」 両手を上げて謝罪する南の魔王。 もっと真剣に謝って。 西と東の魔王は呆れ顔だ。 「ゼロ、氷が危ない、抑えて、ねえ・・・んぅっ!?」 なんでちゅーするかな!? 皆の前ではやめてー!! 恥ずか死ぬー!! 「わあ、寒いけどアツアツだねえ」 「君も苦労してそうだなあ」 「お互い頑張ろうね」 魔王の花嫁仲間から生暖かい視線を向けられる。 俺、あなたたちの安全のためにこんな事になってるんですけど? 次のお茶会では、絶対南の魔王の横には座らないと誓った。
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