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第12話
「ひ・・・っどい目にあった・・・」
お風呂なう。
目が覚めた時には既に、ゼロが俺の全身を綺麗に洗ってくれた後だった。
「酷い目だと?可哀想に、誰に虐められたんだ?」
「お、ま、え、だ、よっ!」
湯船に浸かりながら、当然の様に俺を膝上に座らせて、後ろから抱きしめてるゼロ。
腹いせにゼロの手の甲をつねってやったが、残念ながら彼は嬉しそうにするだけだった。
「お前に触れていいのも、虐めていいのも、可愛がっていいのも、俺だけだ」
「・・・はいはい」
俺は子供の頃から諦めの早い性格だった。
誰かと争ってもどうせ勝てないし、争う事自体好きじゃない。
でも、これ、諦めていいやつかなあ・・・。
取り返しのつかないとこまで来ちゃってるかもだけど、何とか軌道修正できないかなあ・・・。
せめて首輪は外してもらえないかなあ・・・。
「ねえゼロぉ、首輪いつ外してくれんのぉ?」
「外したからといって、俺から離れる事は許さないが」
「離れないからぁ、外してよぉ」
「離れないなら、わざわざ外す必要もないな」
あー、そーなるのかー・・・。
うーん・・・。
不本意だけど、首輪の存在にも慣れてきちゃったしなー・・・。
もー・・・いっかー・・・首輪は・・・。
「じゃあさぁ、抱っこはやめよお?自分で歩きたい」
でも3歩離れると地獄だから・・・。
「手ぇ繋いで、歩く・・・から・・・」
いやそれも恥ずかしいな・・・。
ゼロの袖とか掴んでればいいか。
「俺と手を繋いで歩きたいのか。セナは本当に可愛いな」
「ち、ちが、離れたら大変な事になるからで、別に手じゃなくても服掴んどくでもいいんだけどっ」
「くく、どちらでも構わないが、俺にセナが縋 ってくるのは気分がいいな」
・・・くそぉ。
首輪のせいで俺ばっか不利だ。
離れて大変な事になるの俺だけだし。
結果的に俺がゼロに縋り付くみたいになる。
「やっぱ首輪外してぇっ!」
「はは、イイ子にしてたらな」
ずっとイイ子にしてませんでしたっけ?
俺、なんか悪い事した?
ゼロ様のイイ子の基準を教えてもらってもいいですか?
・・・あ、ゼロ以外に触らせた事か。
でもあれは俺が悪いんじゃない、南の魔王が悪いんだ。
それに、ちょっと指で頬っぺたつついただけなのに。
ゼロは狭量だな・・・。
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