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第14話
「うっわ、さっむ」
「だから言っただろう」
でも、気持ちいい。
久しぶりの外の空気。
雪と氷の世界だ。
「天気いいけど寒ーい」
「嬉しそうだな」
ここは執務室の上の階にある広いバルコニー。
外に出るなら門から出るんだと思ってたけど、上の階に行ったからなんでだろって不思議だった。
2階まで雪で埋まっていて、門からは出られないらしい。
「静かだね」
さっき窓から見えたワイバーンが、遠くで旋回してる。
青くどこまでも続く空と、白銀の世界。
ここが、ゼロの治 る領地。
「セナ、おいで」
手を繋いで横に立っていた俺を引き寄せて、後ろから抱きしめてくるゼロ。
ゼロは体温低いはずなのに、さっきよりあったかい。
「あれ、街?」
「ああ」
「春になったら、連れてってくれる?」
「ああ」
なんでそんな、寂しそうな声で返事すんの。
俺はここに、ゼロの腕の中にいるのに。
「ちゃんと手、繋いでいくから」
「ああ」
「・・・あのさあ」
腕の中でくるりと向きを変える。
ゼロの顔を見上げると、やっぱり悲しそうな顔をしてた。
なにを今更、心配してるんだよ。
「俺はゼロのモノなんでしょ。勝手にどっか行ったりしないし、そもそも首輪で離れられないから」
「首輪を外したら、どうする」
外す気、あるの?
ないでしょ、龍の執着は凄いんだから。
まあでも、外してくれたとしても・・・。
「ゼロの目が届かないとこには行かない。抱っこも・・・たまになら、いいよ」
「そうか」
良かった、少し笑ってくれた。
あーあ、俺もすっかり絆 されちゃったみたいだな。
ちゃんと言っておいた方がいいかな・・・。
「俺、ゼロに悲しそうな顔して欲しくないって思うくらいに・・・ちゃんと・・・好きだよ・・・ゼロの事・・・」
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