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第41話 春まであと少し⑤
※ 本番アリ(風呂場)
あんまり優しくないです(いつものこと)
寝室の畳の部屋で、ジャケットを脱いだ伸一郎さんがくつろいでいた。寝転がって雑誌を読んでいる。
「トイレはホテルみたいで、ギャップでびっくりした。ステキ過ぎじゃない? ここ」
「住みたくなったか? 結婚したら引っ越してくるか。俺は海沿いも良いと思ってたんだがなー……。まあ、いいか」
「待って?」
俺を置いて俺たちの話をすんな。それより!
「伸一郎さん。マッサージするよ」
約束してたしな。
腕まくりをして横に正座すると、ページをめくり、目だけをこちらに向けてくる。
「お前。じっとできない奴だな」
「いやなの?」
「……頼む」
なんだかやれやれと言った感じだが、うつ伏せになってくれた。
(うお)
背中もがっしりしている。何をどう鍛えればこうなるのだ。
「藤行?」
「あっ。ごめん。見惚れてた……。かっこいいよね。後ろ姿も」
手のひらで背中を撫でる。
「押し倒すぞお前……」
なんだか恨みが籠った声だ。マッサージ嫌いなのか?
「痛かったら言えよ」
拳を作り、親指でえいえいと押していく。
「……あー。悪くねぇな」
「そう? そう言われると嬉しいな。よければ今度から、遊びに行った時にしてあげるよ」
「全裸でやってくれたらもっと最高だ。視覚的に。脱げ、お前」
「寝ろ。お前もう寝ろ」
片手でマッサージしつつ、右手でばしべしと頭をはたいておく。
五分ほど押していると伸一郎さんが静かになる。
「寝た?」
「寝そうだった」
もういいのか、むくりと起き上がり膝を立てて座る。
「お前もマッサージしてやろうか?」
ニヤリと笑う彼から距離を取った。
「イイデス」
「こっち来いよ」
「イイデス」
ブリキ人形のように首を横に振るが、伸一郎さんは近寄ってくる。
「ちょっと! いいって」
「はいはい」
迫ってくるのに動けずにいると抱きしめられた。
「おう。逃げないのか?」
「……好き」
この男に抱きしめられるとどうしても、歓喜の気持ちが沸き上がってきてしまう。
俺からも腕を回し、頬に唇を押し当てた。
「積極的だな」
「五倍にして返せって言」
喋っている途中なのに、伸一郎さんからキスされる。ちゅ、ちゅっと唇に吸い付かれた。
「俺からするんじゃないの?」
「我慢できねぇ」
「お、あ!」
急に身体を傾けられる。腕を伸ばして咄嗟に相手の服を掴むが、そっと背中から畳に横たえられた。
「何? おい! ここどこだと……っ‼」
がばっと服を捲り上げられる。ひやりと空気が腹を撫でた。
何か言う間もなく乳首に吸いつかれる。
「っ、ん!」
片手で手首を掴まれ、もう片方の手で口を塞がれた。
「ん、ん。く」
「散々煽りやがって。もうここでぶち込んでやろうか。ああ?」
「んっ!」
尖ってきた乳首を執拗に舐められ、熱が下半身に溜まっていく。
「ぁ、う!」
軽く腰が跳ねる。空いている手で彼の手を退かそうとするが力が入らない。肉食獣が仕留めた肉を貪るように、左右の突起を味わっていく。
「ふ、ぅ。ふぁ、あ」
「もどかしそうだな。触ってほしいのか?」
ズボンの上から手のひらで包み込まれ、じわりと快感が広がる。
気持ち良さから頷きかけるが、ここがどこだか思い出す。
「……う、う」
言いたいことがあると、彼と目を合わせる。
口を押えていた手が剥がれた。
「い、家で。帰ってから……。帰ってからなら、なんでも……あ、違う違う出来ることならしてあげるから」
早口で言い直すが無視される。
「ほお? なんでもか。太っ腹だな」
「出来る範囲だって!」
ぐわっと起き上がるが、彼はニヤニヤしたままだ。服を直しながら、呟く。
「……まあ、伸一郎さんにはいつも助けられてるし。これがお礼になるなら、いいよ」
「俺がお前を助けるのは当然だし。お礼でお前に触ってると思われるの嫌なんだが。その考えやめろよ」
「……」
目を丸くして彼を見上げる。
「俺はお前に、セクハラしたいから触ってんだよ!」
「急に何最低なこと言ってんの?」
「ああ。つい本音が」
「本音?」
ごつい手が顎に振れ、目線を合わせられる。
「お前のことが好きで、お前が魅力的だから触れているんだ。百回書いて覚えろマヌケ」
「んう」
彼の指が離れていく。
「はー。なんかお前って。自分の価値を低く見積もってるよな。『俺が付き合ってやってる』ぐらいの精神で一日過ごしてみろよ。一回」
うわ。そういうの超苦手。
「藤行。なんでその顔面で自信ないんだ。趣味と服のセンス以外は決して悪くねぇぞ?」
「は? 服は最高だろうが」
「……なんでそっちの自信は満タンなんだよ」
マイク持った歌姫モードのアロエちゃんだぞ! オンライン限定で、しかも百名にしか当たらない。早い者勝ちではなくランダム。
胸に手を当て、えっへんと胸を張る。
「俺の愛の力で手に入れたんだ。いいだろ?」
「朝ジジイが普通の視力だったら気絶してるぞ。なんで青空が選んだ服を着ないんだいい加減にしとけ」
「誰の服が凶器だお前。……そういえば、朝ちゃんは俺が、男ってこと気にしてないのかな?」
小さいころから知ってる子が、同性を連れてきたら嫌ではないだろうか。俺は青空が男を連れてきても気にしないが、青空を泣かせたら許さない。
よいせっと、伸一郎さんの膝に座る。
「俺がガキの頃から男女関係なく付き合ってたの知ってるから。んなこと気にしねぇよ。ちょいちょい膝に乗ってくるな。気に入ったのか?」
「温かいし、伸一郎さんが、だ、抱きしめてくれるから」
「お前、めっちゃ煽ってくるよな。俺の理性ダムの耐久テストしてるのか?」
「記憶にございません」
煽ってない。思ってること言っただけだ!
あ、あと四回キス残ってたっけ?
猫のように頬を擦りつけ、顔中にキスしていく。
「はー。幸せ」
四回なんて足りないな。もっとしておこう。車内で足りなかった分も、抱きしめておかないと。
「………………」
血が出るほど唇を噛みしめている彼に気づかず、気が済むまで彼の身体に自分の身体を擦りつけた。
もちろんきっちり仕返しされる。
お風呂行っておいでと言われたので、腕を掴まれ連行された。
「な、なんで怒ってんだよ!」
「ああ?」
慣れていなければ眼光で意識が飛びそうだった。と、同時にこういう顔もかっこいなとときめいてしまう自分がいる。
「脱げ」
「……ん」
逆らって更に怒らせたらと思うと、手が勝手に服を脱がしていく。
俺だけ脱ぐのかと不安になったが、彼も脱ぎ始めたのでぽーっと見惚れる。
「……」
「そろそろ見慣れろよ」
「かっこいいから無理。伸一郎さんが悪いんだろ」
むっと頬を膨らませる。
彼のこめかみに青筋が浮いた。無言でジェルを手のひらに出している。
目が飛び出るほど驚いた。
「え、はっ⁉ ……なにそれ。他人の家だよ? や、ヤらないよね?」
「ずいぶんお花畑な考えだな」
命の危機に抵抗しようともがくが、熊男に勝てたためしがない。浴室に連れ込まれる。
床も壁も、浴槽も木製。椅子も桶も温かみのある木だ。
ミストサウナのような湯気に包まれ、お湯がなみなみと溜まっている。
今すぐ入ってゆっくりしたい、のだが。
「壁に手をつけ」
「はわ。あうう」
「俺の家でも実家でも犯されてんだ。そろそろ他人の家でヤられることに慣れただろ?」
「慣れてたまるかああああ!」
泣き喚くが、首を掴まれ壁に押し付けられる。
「ぐえ」
「鳴き声だけあげてろ」
温度の無い声が耳元に届く。首を絞められるのかと全身の血が下がるが、長い指は一向に力を込めてこない。
片手なら、と思い両手で彼の腕を引き剥がそうとするが、
「あっ、嘘やだ!」
ジェルまみれの手で股間を握りしめてくる。
「あ、ああ」
ぞくぞくと腰が震える。
素早く上下に扱かれ、人の家で鳴いてしまう。
「やめ、あ、伸……ッ」
ジェルが滑りを良くする。股間は瞬く間に反応を見せた。
「はあ、だめ。そんな、すぐ。イっちゃう……」
「まあ流石に人の家だからな。あんまりじっくり可愛がってやれねぇわ。悪いな」
そう思うなら今すぐ手を止めてほしい。いやでも、ここでやめられても。
じゅるじゅる。ぐちゅくちゅ。
「ん、あ。ああ! や、ん、い、あ」
「我慢せずイっていいぜ?」
手の動きを速められる。首を振ることしかできずに、精を放つ。
ぶるっと身体を震わせた。
「……ッ、は、ぁ」
「よしよし。いい子だ」
キスをすると、手が離された。風呂の床にへたり込む。
「おい。立て。ゆっくりできないって言ってるだろ」
「ん……」
腕を掴まれ強引に立たされる。
息が整う暇も与えられず後ろを向かされ、尻を差し出す体勢にされる。
湿っている壁に手をつく。
「伸一郎さん……」
「力抜いとけ。指入れるぞ」
ジェルを足し、中指の先が穴の周囲を撫で回す。
「ん、く」
太い指がナカを押し広げるように進んで行く。
「アッ! は、早いって、え……」
「いやらしい顔してんな」
うなじにキスされ、ぴくっと背中が震える。
「ダメッ。そこ……キスされると、あっ、ん。ぞくぞく、する……」
「ほー?」
腰を支えていた手が頭を掴んで壁に押し付ける。
動かないようにされると、うなじに噛みつかれた。
「ひゃ!」
ゾクリと粟立つ。思わずきゅうっと締め付けてしまったことを揶揄うように笑われる。
「ハッ。そんなイイかよ。お前、雑に扱われると興奮するもんなぁ?」
「つ、……違……!」
バレていることが恥ずかしく、つい否定するが見逃してくれない。
「何が違うんだよ。言ってみろ」
「そんな風に動かさな……」
穴から透明な滴がとろっと溢れ、太ももを伝う。
体温で温められたジェルをかき混ぜていた指が止まり、いきなり引き抜かれる。
「あうっ」
「挿れるぞ?」
「はあっ……。そんな。もうちょっと休ませ……」
ずぶっと、昂ぶりが一気に挿入された。
腸壁を抉るように、削るように侵入される。
「―――ッ‼ ぅ、あ」
裏返った声が出る。
挿入された感覚が、衝撃が背筋を走る。最低限しか解されていない穴は痛みとも快楽ともつかない信号を脳に送る。
混乱する俺のことなどお構いなしに、伸一郎さんは無遠慮に腰を揺さぶる。
「あ、あっ、ばか。そん、なっ」
ジェルのせいで、ずぶっ、じゅぶっ、と音が響く。
乱暴に腰を揺する。
何度も抜き差しを繰り返す。足先で大きく股を開かされ、ずぶずぶに内部を刺激される。
「あ、あっ、あっ」
自然と出る喘ぎと、目尻に浮かぶ涙が快感をあらわしていた。混乱する心を嘲笑うかのように尻に腰をぶつけられる。
硬いモノでナカを擦られる気持ち良さに、ビクビクと勝手に尻が震える。
繋がる喜びを知っている身体は快感を思い出し、相手を満足させるように締め付けてしまう。
「お、イイねぇ」
抵抗できずに身体を使われる。
「あ、あっ……。ん、んぅ」
「いつも同じ体勢だとマンネリだろ」
「な、あっ?」
ごつい手が太ももを撫でる。垂れた液を塗りつけるように。
片足を持ち上げ、風呂場の鏡に見せつけるように拡げられる。肉の杭が深く突き刺さった、敏感な穴の入り口が、視界に映る。
「は、や。ヤダ!」
「はは。穴がヒクついてるぞ。よく見えるな」
「あっ、ヤメ……っ」
羞恥から胸が、突起が固くなってしまう。暴れる暇もなく下から突き上げられ、「ああ。んあ」と嬌声とも呼吸ともつかない声が漏れる。
腰を支えていた手が胸をまさぐってくる。
乳首を抓られ、ビクッと腰が揺れた。
「ひ、がっ……」
「これ終わったら浴槽内で楽しもうな?」
耳を舐められる。
どちゅっと先端が深く抉り、声すら出なくなる。入り込んではいけない部分をぐちぐちと貫かれ、ピクピクと足が震えた。
「や、あっ……。奥やめ」
――な、なんか。いつもより。奥に……
疑問をかき消すように相手の動きが速くなる。鏡に身体を押し付けられ、背後から突かれる苦しさに身悶えする。
どちゅっ、どちゅっと容赦なく結腸口を突かれて膝がガクガクと震えた。
「もう、あ、あ……‼」
やめてという事も出来ない。叩きつけるように出し入れされ、尖った乳首が鏡面にぶつかる。そのたびに俺の先端からどぴゅ、どぴゅっと何度も粘液が零れ落ちた。
「あ、あ、あ。ッ、も、駄目……。伸一郎さ、ん」
「つーか奥まで入るようになったな? 自分で解したりしたのか?」
してねぇよカスと言う前に、鏡の自分に向かって射精する。同時に腹の中で熱い粘液が吐き出された。
「――っあ。あつ、い」
「抜くぞ?」
執拗に奥を突いていた肉杭があっけなく引き抜かれる。
「やああっ!」
ごぽっ。
ジェルと白濁が混じった液体が、どぽっ、こぷっと穴から溢れる。それを隠そうとしたが腕を掴まれ、じっくりと観察された。
「あっ、見るな。ばか! あ、ん」
身を捩るが液漏れが止まらない。
「はあっ。ん……」
「めっちゃ良かったぜ? またやろうな?」
「うう……」
椅子の上に座らされた。
「は、もう」
「ほら。身体洗ってさっさと入るぞ?」
「こいつ……」
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