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第41話 ねむねむなのです

「はあーなんか出したら眠くなってきたわ。男の欲求って身勝手だよなあ。食欲、性欲、睡眠欲っていう無限サイクルだもんな。なあ、由羽」  希逢はとろんとした目をしている由羽の肩を引き寄せる。ぽわぽわと熱を帯びていて、ぷしゅうと顔から煙が出そうなくらい顔が紅い。希逢はしめしめと内心笑いながら、由羽の肩を抱いてベッドに横になる。2人向き合って寝転び、こそこそと耳元で囁く。 「由羽しゃん。よくできましたね。よちよち」  希逢がじゃれて頭をぽすぽすと撫でる。そうすると、由羽は目元をうりうりさせて「もっとなでなでして」と言わんばかりに手のひらに頭を押し付ける。その様がかわいくて仕方なくてキュートアグレッションを引き起こす可能性が高いため、己の加虐心を希逢は鎖で繋ぐ。  ダメだダメだ。ようやく由羽と2人きりになって、したいことして懐いてくれてんのに。ここで俺がやりたい放題したら引かれるに決まってる。まずは小さなことから少しづつ、だ。焦るな、俺。美味いものはゆっくり味わって食べるのが一番幸せなんだから。 「希逢くん。あのね……1個言いたいことある」  由羽はもじもじと膝を合わせながら呟く。 「俺、いますごいあかちゃん返りしちゃいそう。希逢くんといると子どもみたいに素直になっちゃう」 「……へえ。いいよ? 由羽があかちゃんになっても、かわいいからお世話するけど?」 「ほんとう? でも恥ずかしいな。俺、年上なのに……」  目線を逸らして話す由羽の顎を掴んで引き寄せる。そのまま向かい合わせで由羽の額に唇を付けた。 「ほら。こうやってさーー」 「ふむっ?」  唇に熱い舌がねじ込まれる。ぢゅ、ぢゅ、と歯列をなぞり口内を吸い尽くされている。 「……ね? 俺のおしゃぶりしたら静かになったでしょ?」 「……っん」  希逢の意地悪な表情がかっこよくてたまらなくて。由羽は幸せで満たされた気持ちに包まれた。 「もっとこうしてたいけど、ごめんな。仕事の疲れがたまってて眠くてな。抱き枕になってくれるよね?」  有無を言わさない希逢の表情に、由羽は自分から勇気をだして抱きつく。希逢ははっとして驚いていた様子だけど、すぐに背中に手を回して毛布にくるんでくれる。  あれ、これもうあかちゃんのおくるみなんじゃ……。  由羽がぼっと火を噴くように顔を紅く染めているうちに、王子様は夢の世界へと旅立っていた。すうすうと規則正しい寝息を立てる希逢の胸の中に頭をくっつける。眠っているから、聞こえないよねと思って囁く。 「だいすきだよ。俺の王子様《Dom様》」  由羽も静かに眠りについた。互いのぬくもりを感じながら、番のように眠る。そのぬくもりが由羽には言葉に表せないほど幸福なあたたかさだった。

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