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第54話
「……」
ぽかん、としている顔がよっぽど面白かったのか希逢がくっくっくと笑う。
「やっぱそういう反応になるよな。俺の見た目高校生に見えないって。芹沢サンからも疑われてる。25くらいの大人が高校生のフリしてるって」
苦笑する希逢をよそに、由羽はじーっと彼の制服姿を目におさめる。
「制服かっこいいね」
由羽の口から放たれた素直な言葉に希逢はどきりとする。一瞬目を見開くが、そのまま伏せる。
「……騙すみたいなことして悪かった。俺、まだ高校生だけど……これまで通り由羽の隣にいてもいいか?」
希逢の言葉は珍しく自信がなさそうで、目線も床に落ちている。由羽はそんな希逢の様子が珍しくて、年相応でかわいらしくて、愛おしくて。気づけば答えを伝えていた。
「隣にいてよ。ずっとそばにいて」
「っ」
由羽が立ち上がり真っ直ぐに希逢を見つめる。希逢はたまらずに由羽を抱きしめる。背中にまわした腕を強く抱く。
「由羽の口、酒くさい」
「だって俺、大人だもん」
「ふは。なんだそれ」
ゆっくりといつものペースの希逢に戻る。由羽は希逢に抱きしめられたままベッドに落とされた。希逢が由羽の上に乗りながら、白いセーターを胸元までめくりあげる。そのまま既に勃っている乳頭をぴん、と指先でいじる。
「ひゃ」
という女の子のような声が自分から出てしまい、由羽は足をきつく閉じた。
「そんなに締めんなよ。キスでもうここ、勃ってるんだろ」
くにくに、と由羽のはいている白いスラックスの上から膨らみに触れられ下着の中に熱がこもる。入室直後の激しいキスに由羽の下半身はぐずぐずにとろけてしまっていた。それを指摘され顔を腕で覆い隠す。希逢は「ふふ」と微笑を零して、由羽の胸に舌を這わせる。ぬる、ぬる、というざらついた熱い舌が胸の辺りを蠢く。希逢に身体を舐められているという状況だけでも恥ずかしいのに、胸を舐められるのはほんとうに心臓に悪い。ばくばくとした心臓の音が希逢に聞こえてしまうんじゃないか、そう思うと余計に呼吸が荒くなってしまう。
「すっげ。心臓ばくばくしてんの。期待してる?」
「……っ。して……ます」
「くく。なんで急に敬語なの。今までみたいにタメで話してよ」
こくん、と小さく頷くと今度は由羽が希逢の制服のネクタイを掴み引き寄せる。希逢ははっとして由羽を凝視している。その目は熱く揺れている。
「今日は俺からもさせて。いつもしてもらってばっかりだから。今日は俺が希逢くんを気持ちよくさせたい」
「……はあ。どこでそんなの覚えてきたの」
「内緒」
体勢を変える。由羽が後ろから希逢を抱きしめてベッドに座る。閉じていた足を開脚させれば、制服のスラックスから窮屈そうに盛り上がっている膨らみを見つけた。そこを指の腹でやさしく撫でると、希逢が小さく息を詰めた音が聞こえた。
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