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第84話

「ほら壁に手ついて。腰上げて」  ぺちぺちと希逢の竿に双丘を叩かれる。由羽は浴槽の中で両手を壁にあてておしりを突き上げる姿勢をとる。 「はい。合格」 「ふっ……んん」  ずん、と希逢のものが胎内をかきわけて入ってくる。ぷるぷると由羽の足が震えた。後ろから犯されているという感覚に頭の奥が震える。 (俺バック好きかも……)  とろんとした頭の中で由羽は後ろから突き上げられるたびに白濁を壁にかけていた。トコロテンも希逢に覚えさせられてしまった。中も前も両方気持ちよくて身体が発熱する。 「バックだと由羽のだーいすきな奥ごりごりされて嬉しいね」  恥ずかしい言葉で責められて由羽は「あう」と声を洩らす。 「ほら。言ってみ? どうされんのが好き?」 「の、希逢くんの太くておっきいので……っ後ろから奥とんとんされるの……好き……っ」 「えー? 聞こえないな。もっとハッキリ喋って」 (意地悪。恥ずかしいけどちゃんと言ったのに)  由羽は後ろを無意識に締め付けてから再度声を出す。 「希逢くんに抱かれるの大好きだから、もっと激しくしてもいいよ」  後ろを振り返り希逢の目を見上げる。自然と上目遣いになっていた。希逢の眉がひくりと顰められる。 「……中きゅんきゅん締めすぎ。やば」  ふー、と背後で希逢が長く息を吐いた。 「やべー今イキかけたわ」  前髪を後ろに流してから希逢は由羽の身体を抱き起こす。 「それではお言葉に甘えて」  ずちゅ、と入口まで腰を引いてからどちゅ、と最奥まで穿たれる。由羽の口元から声が出なくなるほど重みのある挿入だった。 「あーやば。出そう」 「ぁあ……ん……俺もイク、一緒にイキたい……」  かつてないほどの激しい律動に揺さぶられて由羽も足に力を入れて立ち続ける。 「っそ? じゃあ一緒にイこうな」 「う、ん……っ」  ぐぷぐぷと希逢の昂りを最奥まで飲み込んで、由羽は達した。びゅ、びゅ、と断続的に白蜜が吹き上がり顔にまで届いた。 「出る……」  どちゅ、と濡れた肌が由羽の丸みを帯びた双丘にぶつかる音と同時に希逢がイった。びゅ、びゅる、と胎内で白蜜が注がれて奥深くに浸透していく。はあはあと荒い息を整えながら希逢が静かに腰を引いた。 「うわ、すげ」  由羽の後孔からとろとろと希逢の出したものが垂れてきて湯船にぽちゃ、と落ちる音が聞こえた。湯船を見れば白く濁っている。  震える腰でなんとか立ち続けていた由羽だが限界に近づいてきた。 「も、むり……立てない」 「……自分ので顔射するとかえろいことすんね」  希逢は由羽の頬に飛び散っている白蜜を指で掬いとって舐めた。 「あま」 「……熱い」  湯船に浸かりすぎてのぼせそうな由羽を希逢がお姫様抱っこをして風呂から出して身体を拭く。由羽がベッドの上で火照った身体を冷ましていると、希逢がミネラルウォーターを片手に部屋に入ってきた。 「風呂場でヤるとか俺たち盛ってんね。発情期かよ」 「……うん」  ミネラルウォーターの蓋を開けてくれた希逢に感謝しつつごくごくと水を飲み干す。 「なんかでも俺今すげえ幸せ」 「ん?」  苦笑を浮かべながら希逢が微笑む。 「だって大好きなやつと毎日一緒に過ごせて、俺の作った飯を美味いって言って笑顔で食ってくれて……ほんとありがとう」 「……希逢くん」  2人でベッドに横になりながら視線を合わせる。由羽の額の髪の毛をさわさわと触れて離れていく希逢の指がすごく愛おしい。その指を掴み自身の小指と絡めた。 「約束ね。ずーっとずっと俺は希逢くんのもの。だから希逢くんもずーっと俺の傍にいて」  希逢は少し驚いたように目を見張ってから、小指を絡める。 「ああ。ずっと一緒。愛してるよ由羽」  由羽の唇に自身の唇を重ねて2人で抱き合いながら眠りについた。

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