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第6話

「は、はやく、して……」  懇願にうなずき、ハイドは頭をゆっくり中に押しこんだ。先端が飲みこまれるとウィルクスはハイドの手を握る。 「んふ、ん……っ」  小鼻を震わせながら受け入れ、さらに膝を曲げる。ハイドは中に入った瞬間、不思議な感触を覚えて動悸が高まった。中は狭く、しかしある程度伸び縮みするのか、むしろぴったり吸いついてくる。ゆっくり奥へ押しこむと、肉の筒は彼を飲みこみ、纏わりついて接吻をはじめた。ハイドは腰をさらに進めた。きつくてむりかと最初は思ったが、抵抗を示しながらもウィルクスが体の力を緩めると、ゆっくりと踏みこめる。半ば埋め、ハイドは青年を見下ろした。ウィルクスは口を半開きにして、唾液を垂らしたまま目を閉じている。 「大丈夫か?」  低い声でハイドが尋ねると、ウィルクスは目を開けた。涙が目じりから流れ落ちる。彼はこくっとうなずいた。ハイドはさらに腰を進めた。ウィルクスはかすかにうめく。飲みこまれ、その圧迫感と質感にハイドは腰を振りたくなる衝動をこらえた。根元まで埋めてふと見ると、ウィルクスは片手で脚を抱えあげ、もう片手で自分の乳首を触っていた。 「ぜ、全部、入りましたか……?」  とろけた目で尋ねる青年にハイドはうなずいた。 「じゃあ、動くよ」  そう伝えておいて、ハイドは腰を引く。ウィルクスは腹を占める重量と圧迫感が少しましになるのを感じたが、ハイドにはそれがわからない。ウィルクスが少し寂しげな顔になったので、早く抽送しなければならないと思った。ウィルクスは胸の前で手を握りしめ、ハイドを見上げると朦朧とした目で訴えた。 「あの、お、おれ……ゆ、ゆっくり、ピストンされるの、のが、好きなんです。だから、ゆ、ゆっくり、してくれますか?」  わかったよと答えて、ハイドは腰を引き、深く長い射程で抽送をはじめた。体重を掛けてゆっくり動くと直腸が絡みついてくる。纏わりつく熱と圧迫感に、ハイドは荒い息をつきながら中で鋭く身をもたげていた。それでもまだ萎えそうな気がして、ウィルクスの顔や性器からは目を逸らしている。抽送を続けた。 「あっ、あ……」  ウィルクスは目を細め、頭を反らして快感を享受している。怒張が中と擦れるたび性の悦びがスパークした。膝が震え、宙に浮いた爪先が丸くなる。脚のあいだは半ば萎え、半ば昂ぶり、とろとろと愛液を垂らしていた。彼は自分の乳首をいじりながら崩れた微笑みをハイドに向けて、上手だと褒めた。  ハイドが奥まで己を深く埋めこむと、ウィルクスの体はびくびく跳ねた。性器から泡が立ち、愛液が糸を引いて垂れる。ハイドは抽送を繰り返しながらささやいた。 「きみは、そんなふうに見えないのに……ペニスが大好きなんだな」  ウィルクスの中がぎゅっと締まった。彼は片手で乳首を触り、もう片手を口元に当てて嗚咽を飲みこんだ。 「ご、ごめんなさい」曇った焦げ茶色の目に苦渋の涙が浮かぶ。「ごめんなさい……っ、お、男が、好きなんです……」  いいんだよ、とハイドはつぶやいた。胸を満たしていたあの憐れみがふたたび溢れだし、彼は溺れないように急いで水面に顔を出した。ゆっくりした抽送から少しスピードを上げ、手前を浅く突く。ウィルクスの中が締まり、彼は足の爪先を丸め、背を反らした。ハイドはそこを重点的に責めつつ、奥もできるかぎり穿つ。搾りとるように纏わりついてくる肉の襞に興奮し、ハイドはますます鋭く身をもたげた。突き刺すように中を押しあげ、力を込めると閉じたところをふたたびゆっくり割り開く。激烈な快楽がウィルクスを襲った。  全身が跳ね、歯を食いしばった喉の奥から泣き声が漏れる。 「うううう……っ!」  自分の内臓が剥がれるような衝撃を感じ、ウィルクスは狭いカウチの中で身悶えた。奥に到達したそれに対する愛おしさのあまり、彼は喉を反らして声にならない喘ぎを漏らした。泣きながら腕を伸ばし、身をかがめたハイドを抱きしめる。ウィルクスの脚は攣りそうになるほど宙でしなった。 体が密着すると中に入っている男根がさらに奥に突き刺さる。ウィルクスは中を締め、ハイドの首筋を熱い舌で舐める。肩が跳ね、彼は抱きしめられたまま腰を前後させた。ウィルクスは荒い息をつきながら首筋を舌で舐め、そこに歯を押し当てる。  血を飲むつもりだとわかったとき、ハイドは深く突きあげていた。  ウィルクスは真っ赤な顔で痙攣しながらハイドの首筋に牙を突き立てた。鮮血が溢れかえったのがハイドにもわかり、その瞬間、ウィルクスの中がきつく締まって彼は強烈な快感を覚えた。ハイドは貪るように、肉の襞に自らを擦りつける。ウィルクスは目を閉じ、喉を鳴らして鮮血を飲みこんでいた。その瞬間、ハイドは彼の中で勢いよく吐精した。ウィルクスの爪先が跳ねる。  口を離したとき、血はほとんど出ておらず、ただ首筋に赤い塊が凝固した生々しい噛み痕が残っているばかりだった。 ウィルクスはカウチの上に身を投げだして目を閉じた。二人は荒い息をつき、大気圏を突き破って落下してくる隕石のような気分を味わっていた。ハイドがふと見ると、ウィルクスの腹は白濁した液体で汚れている。ハイドは体内から静かに性器を引き抜いた。

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