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38 音信不通?
僕は冬休み中、ずっと八王子くんから連絡が来るのでは!?とドキドキしていたけれど、
2日経っても何も連絡はなかった。
あの日、八王子くんから電話が来た後に『心配かけてごめんね』と連絡をし、
『別に』と深夜に返事が来た。
それに気づいたのが翌朝で、
僕が『おはよう』と送ったところで
未読無視の状態になっている。
あまり八王子くんからは連絡は来ないけれど
既読がつかないことは珍しい。
念のため、ブロックされてないか確認したけれど、それはないみたい。
八王子くんは気まぐれだしな、とは思いつつも
家に家族がいないことが多いって聞いたから
何かあったのでは?と不安もある…
その時、携帯が震えた。
八王子くん!?と思ったら、花井くんだった。
少し残念に思いつつもトーク画面を開く。
『山路くん、八王子くんの家知らないかな?
今日、生徒会の活動があったんだけど、来なくて、連絡もつかないんだよね』
僕は驚いた。
いよいよ、彼の身に何かあったのでは?と不安が増す。
『お家知ってるよ。心配だね。
僕、ちょっと行ってみる!』
と僕は返した。
でも、生徒会のメンバーにお家くらい知ってる人いないのかな?
先生に聞けば教えてくれそうだし。
『ごめんね。今日、僕と八王子くんの他にもう1人の3人だけでの活動だったから
誰も家が分からなくて💦助かる』
と返事が来た。
たまたま2日前にお家行ってて良かったと思いつつ、僕は急いで身支度をすると家を出た。
本当に何もないといいんだけど。
彼の家に着き、インターフォンを押す。
すると出てきたのはおばさんだった。
「あれ?煌也さんのお友達かな?」
「え、あ、はい」
煌也さん…、って呼んでるってことは親じゃないんだろうか?
「ごめんなさいね。昨日の朝から風邪を引いたみたいで、今も熱で寝込んでいるのよ。
お見舞いだけでもして行かれます?」
申し訳なさそうにそう言われ、僕は思わず頷いた。
だって心配だし…
というのは口実で、八王子くんの顔が見たかった。
っていうか風邪って…、2日前に僕を探して外を走り回ったからじゃ…?
そう考えて、僕はあの日のことを深く後悔した。申し訳ない…
彼女は「念の為」と僕にマスクをくれた。
それをつけると、僕を部屋まで案内してくれた。
こないだきたから分かるけども。
道中、彼女は「八王子家の家政婦です。週に3回だけ来てるんです」と自己紹介してくれた。
免許がなくて病院に連れて行けないから、ご両親に連絡しましょう、と提案したけど、彼がそれだけは嫌だと断られたとも。
今、ご両親は仕事の都合で海外にいるみたい。
そんなただでさえ、寂しい状況なのに、僕のせいで熱で苦しんでいるなんて…
本当に悪いことをしてしまった。
きちんと謝らなきゃと、気合を入れて、僕は部屋のドアを開けた。
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