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42 速攻寝落ち!?

母に言われた通り、手土産にお菓子を買って、もう3度目になる八王子くんの家に向かった。 こないだはお見舞いという純粋な理由があったから良いものの、今日はどんな顔をして八王子くんに会っていいのか分からない。 言われた通りに玄関の扉を開けると、鍵がかかっておらず、すんなりと開いた。 こんな大豪邸に無施錠なんて、なんと危険な… 僕は勝手に鍵をかけておいた。 彼の部屋の扉をノックすると「どうぞ」とぶっきらぼうな声が聞こえて、僕はそろそろとドアを開けた。 「ひ、久しぶり。体調は大丈夫?」 と第一声を発したけれど、こちらに背を向ける形で勉強机についていた彼が振り返り、その顔色を見るに、あまり元気には見えなかった。 「てきとーに座って」 僕の問いには答えず、八王子くんは自室の冷蔵庫からお茶を出した。 「あ、ありがとう。僕もこれ…」 と、お菓子を差し出すと「どうも」と言って受け取り、机に置いた。 で…、僕は何をすればいいんだろう? さっきまで、八王子くんは勉強していたみたいだし、僕も… と、カバンからテキストを出したところで、八王子くんが僕の隣に座って、僕に凭れかかってきた。 「えっ…、あっ、べ、勉強会とか…」 しないんですか?と訊きかけた僕の声は、八王子くんが僕の手を握ったことで止まってしまった。 手!?手ぇぇ!!? なんか握られたり、弄られたりしてるんですけど? なんで??? 僕は驚きすぎて、息を詰めたまま、彼の動向を見守っていた。 八王子くんの手は僕のより大きくて、骨がしっかりしているのに、白くてすべすべで…、少し冷たい。 「山路、体温高いよな」 「そ、そう?あ…、でも、確かに平熱は37℃くらいあって、人よりは高いかも?」 「だからか…」 「え?え、なんか僕変?」 納得した様子の八王子くんが気になり、聞いてみたけれど、八王子くんは何も言わずに 変わらず、僕の肩に頭をのせたまま、僕の手を握っていた。 不意に、彼の頭がずしっと重くなり、寝てしまったんだと気づいた。 でも、この体勢、寝づらくないか? 僕は少し体をずらして、いつもの膝枕スタイルになるように、八王子くんの頭を滑らせた。 横になる瞬間、「んん…」と唸られたけれど、膝まで頭が到達すると、またスヤスヤと眠り始めた。 会ってすぐに寝てしまうなんて、やっぱりまだ体調がよくないのかも知れない。 ソファで膝枕が、いい体勢とは思えないけれど…、僕の力ではこの広い部屋の隅にあるベッドまで彼を運ぶなんて無理だ。 彼が目覚めるまでの間、僕は勉強させてもらうことにした。 でも…、この部屋で八王子くんの匂いを嗅いで、なんなら本人の温もりを太ももに感じていると、なんだか後ろがムズムズしてしまう… なんて…、八王子くんの体調が悪いのに、最低すぎるな、僕。

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