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43 目覚め
お昼の時間が過ぎ去り、なんかお腹すいた気もするけれど、よく眠っている八王子くんを起こすのも悪い気がして、僕は空腹感を無視した。
時刻が4時に差し掛かる頃、どうにもこうにもテキストの問題がわからず、シャーペンを机に放る。
もしも、また花井くんに会う機会があったら教えてもらおうかな…
とはいえ、冬休みもほとんど残っていないから、明日とか明後日にでも、誘おうかな。
なんて考えて、膝の上の八王子くんの頭を撫でる。
彼は「んん…」と言って、少し身を捩った。
起こしたかもしれないと慌てて手を離すと
「やめんのかよ」と彼が言った。
「ご、ごめん!起きてたの?」
と、僕は二重に驚いた。
「さっき起きた。腹減ったな」
彼はなんでもないような様子で、横になったままつぶやいた。
そう言えば、僕もお腹が空いた。
「何が食べたい?」と聞かれたけれど、どういう意味か分からなくてうまく答えられなかった。
食べたいものを言ったら、誰か作ってくれたり、買ってきたりするのか…、はたまた僕に買ってこいという意味なのか…
「好き嫌いは?」
「え?特にはないけど…、トマトとか苦手で…」
「了解」
八王子くんは何やら携帯をいじった後、それを机に置いた。
その時、僕のテキストが目に入ったようで「そこ、分からないの?」と訊かれた。
「うん…、お恥ずかしながら」
それでそう言うと、彼が解き方を教えてくれた。
だるそうだけど、すごく分かりやすい。
僕は解を出した後、思わず「すごい!分かっちゃった!」と言ってしまった。
彼には鼻で笑われたけれど。
「分からなくて…、でも冬休みも終わっちゃうから、また花井くんに訊こうかと思ってたんだ!
流石に休み中に2回もお世話になるのは悪いかなと思ってたから、助かった〜」
僕がペラペラと話すと「花井?」と、不機嫌そうな彼の声が聞こえた。
「あ、ごめん。八王子くんに訊くのだって迷惑だったよね!これで終わりにす…」
勉強面で頼るのはよそうと自分を戒めたところで、急に八王子くんに押し倒された。
い、いつの間に起き上がってたの!?
「えっ、え??八王子くん?」
「俺が体調崩している間、花井に会ってたんだ?」
「え?えっと…、会ったのは昨日だから…、その時には八王子くんは元気だった?」
「…うぜぇ」
本当にイラついているように八王子くんが吐き捨てたので、僕は血の気が引いた。
でも、僕は何を間違えたのか分からない。
「ご、ごめん。が、頑張るからっ…、嫌いにならないで…
後ろもちゃんと使えるようにしてきたから!」
焦ってしまって、言わなくていいことを言った気もする。
「じゃあ脱いで」
と、静かに彼に言われて、僕は「え!?」と言いかけたけれど、僕を見る目があまりに冷たくて、
僕は恥ずかしさや恐怖で震える手で衣服を脱ぎ始めた。
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