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44 やだって言ったのに※

パンツ一枚になったけれど、八王子くんは何も言わないし、動かない。 「あ、あの…」 午後4時過ぎ… まだ部屋の中は明るくて、僕は恥ずかしすぎてここから進むことができない。 八王子くんがため息をつく。 ビクッと体が跳ねる。 だめだ… 八王子くんに幻滅されるなんて… 腰のゴムのところに手をかけるが、やはり、下げることができない。 「花井にも、お礼とかしてるわけ?」 「…え?お礼?」 「こういうこと、してんのかって」 「し!してない!! それに、僕が脱いだところでお礼にならないよ」 「…、あっそ。 他のやつと山路を共有するとか無理だから」 「う?…、うん?」 どう言う意味かすぐには分からなかったけれど おそらく誰かの性処理をした僕を 使いたくないということなんだろう。 「誰かとエッ…、ェ…、チなこととか!したことないから! 今後することもないと思うし…」 そもそも、八王子くんが僕ごときで処理できていることが奇跡なんだけれど、 男の人はもっての外、女の子にすら僕はそういう意味で相手にされることはない。 悲しいけれど… 「誰かに指一本でも触れられたら 山路のこと、要らなくなるかもね」 「やだ!!」 思いの外、大きい声が出て、僕は慌てて「ごめん」と言い、自分の口を手で塞いだ。 八王子くんは僕の手を掴んで外させた。 「飽きられないようにせいぜい頑張れば」 そう言って、かっこいい顔を歪ませて笑った後、唇が合わされた。 「んっ!?」 いきなりのキスに僕は驚く。 彼の舌が僕の唇と歯をこじ開けて、深くまで入ってくる。 抵抗する理由もなく…、というかむしろ嬉しい気持ちでそれに応えていると、僕の体はスイッチが入ったようにビリビリしてきた。 彼の手が、僕の手首から離れて、脇腹や腰をくすぐりながら下に降りていく。 そして、一枚だけ残ったパンツを下ろされると、僕のしっかり反応した屹立がゴムに引っかかりながら露わになった。 「これだけで勃つんだもんな。 俺だけで満足できんの?淫乱のくせに」 そう言われて、僕は羞恥で顔が真っ赤になる。 恥ずかしさのあまり、涙が浮かんだ。 「ちがっ…!!キ、キスなんて八王子くん以外としたことないけど…、 でも、八王子くんとだと何されてもこうなるもん。僕は淫乱なんかじゃ…」 クチクチとそこを乱雑にしごかれる。 それだけで僕は「うぅっ」と鼻にかかったような恥ずかしい声をあげて身を捩ってしまう。 「淫乱じゃない…、ねぇ?本当に?」 意地悪な顔で八王子くんが僕を見下ろす。 手は止まってくれなくて、僕は反論の余地もなく喘ぎ、しまいには吐精した。 「あっ…、あぁ…」 肩で息をしながら、余韻に浸っていると、 彼はその精液を擦り付けるようにして、僕の先っちょを手のひらで擦る。 「やっ!?やだ!!それっ、ダメ!! もうイッたからぁぁ!やだぁぁぁ!!」 半狂乱になって首を振ったり、身を捩ったりしたけれど、力の差は歴然で 僕はその暴力的な、痛みすら感じるような快楽に、透明な液体を噴射した。 「やだぁ…、ダメって言ったのにぃ」 羞恥と悲しさで、僕は泣き出した。 綺麗な八王子くんの部屋のソファを汚しちゃった…

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