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47 筋トレと体力づくり
ご飯を食べ切り、次に八王子くんがお風呂に行った。
その間、ゴミとかを片付けようとしたけれど、!立ち上がる気力がなかった。
さっさとお風呂入らせてもらって良かった。
一歩も動けないくらい疲れた。
机に突っ伏してるとだんだん眠くなる。
不意に肩をゆすられて、僕は跳ね起きた。
「えっ!?な、なに!?」
「いや、こっちのセリフだから。
ここで寝たら流石に風邪引くと思うけど」
そう言われて、初めて僕が寝ていたことに気づいた。
「ご、ごめん」
とは言え、中途半端な時間におっ始めて、変な時間にご飯を食べたせいで、まだ19時だ。
こんな時間に布団に入るのは、どうなんだろう。
「ベッド行く?」
「えっ」
さっきまでの惨状を思い出して、僕は思わず身構えた。
っていうか、あの状態のままお風呂入ったけれど、そうとう八王子くんのベッド汚したような…
その考えを見透かしたのか、
「あー…、ちゃんと片付けたから
一応すぐ寝れるけど」
と彼は言った。
僕が吐き出したあれこれを片付けさせちゃった…
「僕が汚したのにごめん」
と、改めて謝る。
八王子くんがテキトーに食卓の上を片付けて、自室に向かおうとする。
立ち上がらない僕をみて、「行かないの?」と聞いてきた。
「あ…、えっと…
お風呂までは大丈夫だったんだけど、なんか足腰が立たなくて…」
と僕が言うと、彼はため息をついて、僕を縦に抱き上げた。
「わっ!?」
いや…、嬉しいんだけどね
男として、軽々抱き上げられるのはどうかと思うんだよね。
「山路はもっと筋力と体力をつけた方がいいんじゃない?」
と、僕を運びながら八王子くんが言った。
僕は運動は大の苦手だけれど、今後と僕の尊厳のことを考えたら…、筋トレくらいはするべきかも。
「うん…、そうだよね」
と、僕が渋々頷く。
あっという間にベッドについて下ろされた。
そして、彼はじっと僕の足…、いや、太ももをガン見した。
「え?なんか変?」
と、僕が聞くと
「カチカチの枕は嫌だな…
やっぱり、筋トレはなしにするか」
と、八王子くんは言った。
カチカチの枕…?
そう考えて、彼がいつも僕の膝の上に頭を置いていることを思い出した。
僕がムキムキになって尊厳を得たとして、そのせいで彼が僕の膝枕が要らなくなるのは悲しい。
僕にとって、あの時間はご褒美なんだ。
それに、他にもっと良い枕を探せば、いくらでもいるから、僕の価値もゼロになってしまう。
それはダメ。
その役目をメグミさんに譲るのは嫌だ。
「じゃ、じゃあ筋トレはやめる」
「そうだね。まあ、体力づくりとして走り込みはいいんじゃない?
長距離ならゴツゴツした筋肉つきにくいし」
「えっ!!?」
長距離なんて1番嫌いなんだけど!?
いくら八王子くんのためとはいえ…、それだけは辛い。
「できないの?」
「え、えっと…、実践を重ねて体力をつける方向じゃダメかな…」
と、僕がダメ元で提案すると
「実践って…、俺とヤリまくるってこと?」
「ヤ!?い、いや!え、あ、そういうことになるよね!?」
「ふっ…、やっぱり淫乱だ」
「ちっ…」
違くはないんだよなぁ
と思って、口を噤む。
「山路がそんなに言うならしょうがないね。
早速今からトレーニングするか」
彼はしたり顔で僕のスウェットの上を捲り上げた。
無駄な抵抗も虚しく、
僕はくったくたなのに
そこから日付を超える頃まで
寝かせてもらえなかった。
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