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6.Escape~逃亡の果て
いつもなら細い体に小さな背を生かし、この人混みを利用してやんわり交わしてやるのに!!
……なんて。苦虫を噛むような顔をしたってお天道様 は助けてくれるわけでもないのは、もう知っている。
くっそ!
今の今だって、母さんの病状は悪くなっているし、幼い妹は腹を空かせてご馳走を待ってるっていうのに!!
悔しいから認めたくはないけれど、この状況はどうやっても結末は目に見えている。
――いや、オレだって、ジャンビーアくらいは持ってるよ?
ジャンビーアは一人前の戦士の証として与えられる、男にとって大切なものだからな。
それにこのジャンビーアは特別で、今はこの世界にいない父さんの形見でもある。
剣の腕前だってそこいらの兵士に負けないくらいの使い手だっていう自信もあるよ?
え? オレの剣の腕前はどれくらいかって?
自慢だけど、スラム街の中では一番だ。
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