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7.Escape~逃亡の果て
だけどさ、いくらなんでも人混みが多いこの街中で刃物を振り回すわけにもいかないし、しかもオレよりもずっと背が高い大人の兵士を一度に4人も相手にできる自信はない。
――最悪だ。
前も後ろも塞がれた。
オレに逃げ道はない。
行き交う人々は、『オレ』っていう、泥まみれで、ちっぽけな人間の運命が終わる瞬間を面白がっているのだろう。
立ち止まり、ジロジロ見てくる視線が、オレの体に突き刺さる。
「……っつ!!」
オレは唇を噛みしめ、苦しみや悲しみも知らない、のうのうと暮らしている、王の手先に捕まるのを覚悟した。
――その時だった。
オレの右腕が急に引っ張られた。
おかげで、オレの目の前では、抱えていたリンゴやらパン――それからメロンが、オレの目の前で宙を舞う。
そうかと思えば、オレを捕まえようとしていた前後にいる兵士たちは、『オレ』っていう標的を失ったことで、兵士同士で勢い余ってぶつかり、倒れた。
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