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4.Night~捕らえられて

 仲間割れを起こしている人買いたちはお頭と呼ばれている男によって宥められる。  喧嘩を止めるよう仲間の手をふりほどき、倒れているオレの前にしゃがみ込む。  歯を食いしばるオレの顎を持ち上げ、ニヤリと気味が悪い笑みを浮かべた。  ……触れられた手の感触が気持ち悪い。  その感触をたとえて言うなら、ナメクジがオレの顔を這うような、そんな感じ。  あまりにも気持ちが悪くて、よりいっそう頭を睨むオレ。  だけど奴はそれを楽しそうに見下ろすばかりだった。 「そう、言われてみれば......」  仲間に噛みついていた男は浅黒い顔をオレに近づけた。 「……だろ?」  口々に同意した。  おかげでそいつの顔に無精ひげがあることがわかった。  品定めするようなジトジトした視線と相まって、そのひげがまた、気持ち悪いと思わせる。 「だったら、さっさと売り飛ばそうぜ?」
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