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13.Meet Again~同衾
罵声を放つオレを買った男が遠ざかって行く。奴を横目で見ながら、オレは恐怖でいっぱいになった頭をどうにか働かせようと必死になった。
だけど、オレのその思惑も、やって来た兵士の言葉で遮られた。
「ヘサーム様、この小僧はどうしますか?」
……ヘサームだって?
頭上から落ちてきた兵士の言葉で、オレは絶句した。
『ヘサーム』
その名前は忘れもしない。オレが兵士に追われていた時に助けてくれた人の名だ。
まさか……。
ゴクンと息を飲み、恐る恐る顔を上げた。
すると見えたのは……。
凛々しい眉に、すっと通った鼻と、薄い唇――。
オレよりも少し細い、輝く目をした、あの男。
見間違いようもなく、そいつはヘサームだった。
ヘサームが、王直属の兵士?
だってヘサームは盗みをはたらいたオレを逃がし、それどころか食べ物まで与えてくれたんだ。
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