90 / 158

2.Refusal~涙の理由

 そんなオレの体は、ヘサームや、男たちに突っ込まれた孔の違和感がまだ消えず、ほぼ一晩中、体を組み敷かれたことで、とてつもない倦怠感(けんたいかん)が残っていた。 「ほら、朝飯だ。食え」  白のカンドーラを身につけ、スカーフを頭に被った兵士3人のうちひとりがそう言って、リンゴやバナナといった果物がたくさん入ったカゴを、オレの前に突き出した。  はんっ、冗談っ! 誰が父さんを見殺しにした兵士なんかの施しを受けるかよっ!! 「いらねぇよ、こんなもんっ!!」  オレは鎖で繋がれていない方の左手で、差し出された果物をカゴごと払い除けた。  紫色をした絨毯(じゅうたん)に向かって勢いよく落下するカゴからこぼれ落ちた果物が、ゴロンと音を立てて転がった。 「貴様、へサーム様がせっかく!!」  兵士の手が上がる。  好意を受け取らないオレを叩く気だ。

ともだちにシェアしよう!