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2.Refusal~涙の理由
そんなオレの体は、ヘサームや、男たちに突っ込まれた孔の違和感がまだ消えず、ほぼ一晩中、体を組み敷かれたことで、とてつもない倦怠感(けんたいかん)が残っていた。
「ほら、朝飯だ。食え」
白のカンドーラを身につけ、スカーフを頭に被った兵士3人のうちひとりがそう言って、リンゴやバナナといった果物がたくさん入ったカゴを、オレの前に突き出した。
はんっ、冗談っ! 誰が父さんを見殺しにした兵士なんかの施しを受けるかよっ!!
「いらねぇよ、こんなもんっ!!」
オレは鎖で繋がれていない方の左手で、差し出された果物をカゴごと払い除けた。
紫色をした絨毯 に向かって勢いよく落下するカゴからこぼれ落ちた果物が、ゴロンと音を立てて転がった。
「貴様、へサーム様がせっかく!!」
兵士の手が上がる。
好意を受け取らないオレを叩く気だ。
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