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4.Refusal~涙の理由

『自分さえ健康であれば』とそう言って、自分を責めるかもしれない。  そんなことになったら、いつかは治るかもしれない病が治らなくなる。   それどころか、気負うことによって、もっと重い病にかかるかもしれない。  男に貫かれた孔に意識を向ければ、ほんの少し、痺れるように感じた。 「っふ……っ」  オレをこんなふうにした人買いや金持ちたち。  オレを裏切ったヘサームが憎い。  そして何より、そんな奴らに体を開いた自分自身に腹が立つ。  とてつもない悲しみと憎悪。  それらがオレの中でぶつかり合い、目から涙があふれてくる。  ……最悪だ。  男に組み敷かれるなんて!!  いくら媚薬のせいだっていっても、自分から体を開いて相手を欲しがるなんて!! 「……っつ、ぅうっ!!」  父さんの形見であるジャンビーアも……。  男としての立場も……。  全部、失った。

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