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13.Refusal~涙の理由
それはあまりにも、バシラさんがサラッと告げたものだから、オレは自分の耳を疑った。
……あり得ない。
だって、だってオレは男で、ヘサームももちろん男だ。
同性を恋愛対象として見るのはかなり無理がある。
「オレは男だ」
「ですが、ヘサーム殿は貴方を好いておられる。失礼ですが、貴方は人買いに捕らわれ、媚薬を浴びせられたとか……」
「……っつ!!」
バシラさんは事実を告げている。
だけど、人買いに捕らわれ、男に体を暴かれたあの時のことを思い出したくもない。
それでも、いろいろしてくれているバシラさんに失礼なことをしたくなくて、オレは、コクンと小さく頷いた。
すると、バシラさんは突然オレに手を伸ばし、カンドーラの上から胸のあたりをなぞった。
「っひ!」
触れられた箇所から甘い疼きを感じて、オレは与えられた刺激に反応してしまう。
体は小さく震えた。
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