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1.Passion~アティファ
◆
さわさわ……。
さわさわ……。
オレの頭を撫でているのはだれだろう。
すごく気持ちがいい。
どうかこのまま――。
できるなら、ずっと、こうしていてほしい……。
オレはそう願いながら、目を閉じていた。
(あれ?)
だけど、ちょっと待て。
オレ、たしかヘサームの看病で起きているはずじゃなかったっけ……。
でもオレは今、目を閉じている。
「……って、寝てちゃダメじゃん!!」
頭が覚醒したオレは、伏せていた顔を上げて飛び起きる。
「――あ」
そうしたら、そこにはヘサームがいたんだ。
ヘサームはちょっと驚いたみたいでおもいきり飛び起きたオレを見下ろしている。
ヘサーム、よかった。目が覚めたのか。
顔色も当初より、ずっとよくなってるみたいだ。
(……ほんとによかった)
「元気になったんだな」
ほっとひと安心したオレに、ヘサームは顔をしかめ、口を開いた。
「なぜ、まだここにいる?」
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