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7.Passion~アティファ
抱かれたことで、男らしさまで無くなしちゃったのかな。
女々しすぎる。
……ほんと、最悪だ。
「アティファ? まて、君は俺を好いてくれているのか?」
「汚くて悪かったなっ! お望み通り消えてやるよっ!!」
(ああ、そうだ。これ以上嫌われる前に、早く出て行かなきゃ!!)
だけど、どこに?
帰る場所なんて、どこにもない。
汚れきったオレには帰る場所なんてどこにもない――。
ココを出たとしても、また売られて、奴隷としての生活が待っているんだ。
大嫌いな金持ちに体を開いて永遠と抱かれる日々が――。
体が鉛みたいに重く感じる。
それもこれも、オレが勝手にヘサームと両想いだと思い込んでいた所為。
オレが自惚れただけ――。
「……っつ!!」
そう思うと、余計に涙が流れた。
(出ていかなきゃ!)
「怪我させちゃって……勝手に好きになって、ごめん……」
オレは慌ててベッドから下りた。
「ごめんなさい……」
走って出て行こうとしたら、
「アティファ!!」
ヘサームの手が背後から伸びてきた。
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