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9.Passion~アティファ
そこまで言うと、ヘサームはオレの肩口に額を乗せて黙った。
「ヘサーム?」
オレが尋ねると、言おうか言うまいか躊躇っていたのだろうか、ヘサームの口がまた開いた。
「いくら君を守るためとはいえ、媚薬に侵されている君を無理矢理抱いてしまった……」
ヘサームの声が震えている。
――それって。
……それって……。
(もしかして、オレのこと好きでいてくれてるの?)
トクン、トクン。
あんなに冷たかった体が熱を持ちはじめるのがわかる。
「……オレ……は、他の奴に抱かれて、汚れちゃったけど……許されるのなら、ヘサームの隣にいたい」
ヘサームの言葉が真実であってほしいと願いながら、震える唇に言葉を乗せていく。
「汚れてなんかいないさ。君は出会った時と同じで、汚れなく美しい。――愛しているんだ、アティファ」
「――っつ!!」
(息が、できない!)
嬉しくて、ヘサームの告白に息が詰まる。
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