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10.Passion~アティファ
だって、だってさ。
『愛している』って、彼はたしかにそう言ったんだ。
その言葉が嘘ではないと言うように、涙を流すオレを見下ろす揺るぎのない真摯な眼差し。
信じていいのかな。
また、自惚れてないかな。
「オレ、オレ……貴方に嫌われたのかと思って……!!」
嬉しすぎてどうにかなりそうだ。
もしかすると、オレはまだ夢の中なのかな。
現実は、まだヘサームは目覚めてなくて熱にうなされているのかな……。
「君を嫌うことなんて有り得ない」
――ああ、お願いだ。
神様。
どうか、これが夢ではありませんように……。
オレは天に祈りながら、たくましい胸板に頬をすり寄せる。
そしたら、ヘサームはオレの頭のてっぺんにキスを落として優しく抱きしめてくれた。
夢ではないと、そう言ってくれるように……。
「……ヘサーム、好きです」
オレは背中に腕を回し、想いの丈を口にした。
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