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26.Night~捕らえられて
「いらん。服は何も着せるな。布を巻くだけにしろ。赤く腫れた飾りと、一物から後孔に向かって流れる先走りが見えるよう、闇の市場に着いたらすぐに取れ。これは高く売れるぞ」
「こいつの厭らしい体のおかげで俺たちは一気に大金持ちだな」
下卑た笑い声が降ってくる。
「っつ、っひ、あっ、ああっ!!」
(いやだ!)
――キモチガイイ。
(誰か、助けて……)
――モット、ハキダシタイ。
ふたつの極端な感情が交差する。
乾いた砂地に涙が落ちる。
この涙は快楽によるものなのか。
それともジャンビーアを奪われ、男なのに無理矢理体を暴かれたことによる悔しさからのものだろうか。
自分でも、もう何が何なのか、よくわからない。
……だけど。
だけど、ひとつだけわかるのは――……。
(ヘサーム……助けて……)
オレの脳裏にヘサームの顔が過ぎったっていうこと。
なぜだかわからないけど、今、とてもヘサームに会いたいって……そう、思ったんだ。
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