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3.番外編~ヘサームとワーリー王

「なんだ、お前知らぬのか? 何でもその盗人、かなりの腕前でらしく、我が兵もいくらかやられたとか。少女のような容姿なのに、たいそう腕が立つと、巷では評判だぞ?」  ワーリー王の薄い唇の端がつり上がっている。どこか楽しそうに話す彼は、本当に一国の主であろうか。  常に冷静沈着。――そして何より、威厳を漂わせている彼であっても、兄の前であれば本性が出る。  ワーリー王に秘められた内面は、おそらく限られた者にしか知らない。  彼は好奇心が旺盛だった。  だからこそ、といえばそうなのかもしれない。  今まで、先代の王たちが為し得なかった様々なことを思いつき、実行に移す。 ――たとえば、そう。  今までは血筋を重んじていた重役たちに、才ある者を昇格させるように命じたのも、彼だった。  時にその好奇心は役に立つ。それは認める。しかし、である。  ヘサームにとって、今はそうではない。

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