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確信 (3)
深呼吸をしてから顔を上げ、悠臣の目を真っ直ぐ見ながら尚行は口を開く。
「俺、悠臣のことが好き。なんなら前に言った時よりももっと。……二度と恋愛はしないって思ってたのに、いつのまにかこんなにも好きなってた。もう悠臣がいない毎日とか、考えられない」
「……尚」
「でも今すぐに今の関係以上を望むとか、そこまでわがまま言わないから、悠臣が嫌じゃなければ、これからもずっと俺と一緒にしてほしい。……その、浅野って人の代わりでいいから、俺がずっと悠臣の隣でギター弾いていたい」
尚行の真っ直ぐな言葉を受けて思うことは沢山あったが、まずはどうしても最後の一言が引っ掛かった。
「浅野の代わりって、俺一度もそんな風に思ったことないけど。……まぁ確かに向こう見ずな性格とか好きな音楽とかレスポール弾きだとか、共通してるところはあるけどそんな程度だし、浅野は浅野で、尚は尚でしかないよ」
「でも、……好きだったんだろ?」
目を逸らしながら尚行が呟くように言う。
「浅野のこと?そりゃ好きか嫌いかって言ったら好きだけど、恋愛感情のこと言ってる?なら答えはノーだよ」
悠臣ははっきりと答えたが尚行はまだ納得していない様子だ。
「当時は俺も浅野も彼女いたし、当たり前だけどそんな風に意識したことは一度もなかった。……今ならどうかって考えても、やっぱそういうのじゃないな、あいつとそういう関係になるとか、想像もしたくないんだけど」
少し想像してしまった悠臣は思いっきり顔を顰めた。
「……じゃあ、俺は?」
思わず口をついて出た言葉に悠臣が一瞬身を固くしたのがわかって、尚行は即座に後悔する。
「や、やっぱいい、今の忘れて」
気まずそうに悠臣から離れ、ソファから立ちあがろうとした尚行の手首を悠臣が掴んだ。
驚いた尚行が悠臣を見ると真剣な表情の悠臣と目が合う。観念して尚行はおとなしく悠臣の隣に座り直すと悠臣はようやく手を離した。
「ベースの方はまぁ何とかなりそうだし、そろそろそっちの話もしないとな」
尚行の方を向くことなく悠臣から放たれた言葉に、緊張から今度は尚行が顔を強張らせる。
「……今?」
「あぁ」
あからさまに嫌そうに顔を顰め目を逸らす。
「……やっと悠臣と音合わせられてせっかく良い気分だったのに、今じゃなくても」
「いいから、とりあえずまぁ聞けよ」
俯いて不貞腐れたように呟く尚行を諌めるように優しい声で悠臣は話始める。
「だいたい忘れてるかもってなんだよ、あれから毎日俺がどんだけお前のこと考えてたか、そういう意味での“人の気も知らないで”だよ」
笑いながら悠臣がまた尚行の頭をくしゃっと撫でると、尚行は頬を赤く染めながら更に顔を顰めた。
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