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第8話 鏡の前で・・

 煌也が手元のリモコンを操作したのが解った。 「んっっ♥、あっ、ぁぁっっっ、あっ♥」  ナカ。それも奥の方、ダイレクトに良い所を、くいっと押されている感じだった。 「っんあっ、ぁん……っ♥ あっ♥ んんっ♥ あっ、奥……っ」  足がガクガク震えて、膝で支えているのも辛くなってきた。  最奥では、いつも煌也の指がしているように、内壁をくいくいと刺激している。振動と、その動作が同時に来て、目の前が白く明滅する。 「っあ♥ っ……あっ……っも♥ もぅ♥ ……イっちゃ……♥」  もうすぐ、達することが出来る―――。  荒い息を吐きながら、郁は、絶頂を待ちわびたのに、それは与えられなかった。 「郁、早いよ……」  煌也が、振動と刺激を止めてしまったからだった。内部は、ヒクヒクと蠢いて、最奥への刺激を求めている。けれど、ナカに入った玩具が擦れる感触がするだけで、決定的な刺激が来ない。 「ん……っ、あっ、イジワル……、煌也……、もっと……♥」  縋り付くように煌也を見やる。煌也も、興奮しているのだろう。顔は上気していたし、中心は、すっかり立ち上がっている。 「これね……いろんな所が振動するみたいなんだよ。だからね、そんなに簡単にイッちゃったら、勿体ないでしょ? ……まず……ほら、ここは……」  電源が入れられて、びくん、と大仰に身体が跳ねて反応した。 「っ……っん……っ! ぅあ……っ」!!  いつもと違う所に刺激がある。けれど、ダイレクトに、神経の中枢に刺激を与えられているようで、一瞬、意識が飛んだ。 「……これは、|会陰《えいん》ね。……ここ、気持ちいい……?」  煌也が、耳を舌でねっとりと舐めながら語りかける。 「え……」 「……今、一番刺激を弱くしてるけど……少し、強くしようか」 「えっ……っやっ!」  今も、身体がガクガクと震えて、どうしようもなくなっている。これ以上強い刺激を与えられたら……。 「じゃ、行くよ♥」 「………っ!!!」  がくん、と膝から力が抜け、支えられなくなった。ベッドの上にうつ伏せに横たわる結果になって、郁は荒い息を漏らしながら、喘ぐ。 「あっ……も……♥ もっ、ダ……♥ ダメ……っ♥ イっ……イッてる……あぁっ……っ、もっ、やっ……」 「郁。イッちゃったんだ。……ここ、好きなんだね……じゃ、今度、家でするときも……ここ、指とかでトントンしてあげたり、ふにふにしてあげると、凄く良いはずだよ」 「あ……ああ……、あ……っ」  前後不覚に陥った郁の身体が、びくびくと震えている。 「せっかくの鏡プレイなのに、見えないと、面白くないよねぇ」  腰を抱えられて、もう一度、尻を高く上げさせられた。それでも、力が入らなくて、すぐに、へたってしまう。 「仕方がない」  そう言いながら、煌也は、郁の身体を仰向けにして、大きく足を開かせた。 「……いつも、エロいね……郁ちゃん」 「ホント。……バイブ、咥え込んで離さないもんねぇ」  ギャラリーたちの声がする。 「郁。前を見て」  煌也の指示に従って前を見ると、そこには、大きく脚を開いた郁の姿があった。身体の奥に、玩具を埋め込んで、全身が真っ赤に上気していた。口からは、飲み干せなかった唾液が垂れていて、目は熱っぽく潤んでいる。  玩具は、今は振動していない。けれど、郁の奥が、痙攣したように、蠢いていて、それに合わせて、ぐねぐねと蠢いている。 「……じゃあ、電源、入れるよ」  会陰に振動がしてくる。 「っ、……っあっっ……っ、あっ、あ……っあ……っ♥」  勝手に、腰が動いてさらに快楽を求めている様子が、見える。鏡に映る男は、確かに郁なのに、快楽に貪欲な別人のようだった。 「あっ……っあっ……、んっ……そこ……アタマ……ヘンに、なっちゃ……う♥」 「じゃあ……こっちも入れてあげるね」  ナカの刺激が始まった、 「ひっ……っ……あっ……っ、も、あっ♥ あっ、あっ……っ♥ あっ、も、も……、ダメ……っ♥」 「……ダメなら、止めちゃう? 郁」  煌也が、甘く甘く囁く。こういうときの煌也の声は、砂糖よりも、もっと甘い―――……。 「っん、ヤ……、ダメ……やめな、……もっと……もっと♥ すご……すごく、……気持ちいいっ♥」  両足がガクガクと震えて、腰が勝手に動いて、何か縋り付くモノを求めて、腕がその辺を彷徨う。 「……じゃあ、もう一カ所、電源を入れてあげるね」 「え……? ……何……?」  これ以上、どこで刺激が始まるのだろうかと一瞬、冷静になった郁だったが、すぐに、体感させられることになった。 「ぁぁっ……っぁっ……っっっっっ!!」  過敏な、入り口の所にも、モーターが入っているようで、入り口に、振動が伝わる。  ナカと、入り口と、会陰と。三カ所を同時に攻められて郁の視線が、焦点を失う。 「……あっ、も♥ ………、あああっ……っ♥」  ひときわ大きく身体が弛緩して、絶頂を迎えた郁は、一瞬、意識が分断されるのを感じていた―――。

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