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第10話 とっても、郁は気に入ると思うけど……

 玩具の形に押し広げられたそこが、物足りなさそうにひくひくと蠢いている。  煌也に『見なさい』と言われた郁は、鏡を見ながら、自分のアナルに視線が釘付けになった。  真っ赤に充血して、もの欲しそうに動いている。  塗り込められたローションが少し泡立っていて、奥に精液を出されたような感じだった。アナルは、重たい粘液で怪しく濡れている。  つい先ほどまで、そこに入っていた玩具をチラリとみやる。アナルと前立腺、そして会陰を同時に刺激することが出来る形状をした玩具だった。  郁は―――自分のそこを、見たことがないわけではなかった。  煌也に言われて、アナルプラグがはめ込まれた写真を撮って、煌也に送信したことがある。その時のことを思い出して、ひくっと、そこが動いた。 「……郁、今度は何をして欲しい? 郁のここに……」  と、煌也は、もの欲しそうにしているそこを、指の腹で優しく撫でた。 「ぁ……んっ……♥」  ビンカンになっているそこは、少し触れられただけでも、もっと刺激が欲しくなってしまう。 「何が良い?」 「あ……、煌也……、その……」  恥ずかしいとは思いながら、郁は、小さな声で煌也に告げる。 「……胸……、摘まんで……?」 「ああ」と煌也が笑みを深くした。「郁、好きだもんね。……ここは、皆にしてもらったよね。あれも、好きだった?」 「っ……それは、……」  ギャラリーの人たちも参加して、胸を弄られたことがあった。あちこちから伸びてくる手は、どうなるのか予想も付かなくて、それも興奮したし、馴れた煌也からされるのとは違うし、両方同時にせめてくれるのが良くてたまらなかった。 「……うん、みんなに、して貰って、気持ち良かった……よ?」  気持ち良いこと、欲しいことを素直に口にすれば与えて貰えるというのを、郁は十分に学習していた。だからこそ、郁は、素直に自分の気持ちを伝える。 「……でも、今日は、皆にはギャラリーでいて貰おうかな。……ほら、せっかく、胸のヤツ、買ってきたんだし。使ってみたいよね……?」 「でも……その前に、煌也に、して欲しい……」 「……また、可愛いことを……。じゃあ、郁の望むとおりに、弄って上げるね」  煌也が、郁の両方の胸の突起を、指の腹で優しくなで回す。すでに立ち上がっていたそこは、撫でただけだというのに、頭の芯を甘い痺れが駆けていく。 「っん……っ♥ あっ……」 「……郁、胸、好きだね……」 「あっ♥ ……っん……っんん♥」  煌也の指が優しく撫でていると、甘い声がひっきりなしに漏れた。 「あっ♥ っん……っ♥」 「郁は……、ちょっと前まで、ココを弄ったこともなかった子なのにね……えっちな身体になっちゃって♥」  煌也の囁きに恥ずかしくなる。確かに、煌也に出会うまで、胸を弄ったことなど一度も無かった。こんなところが感じるとは、考えたことも無い。 「あっ……♥ もっ……気持ち良い♥」 「……郁、まだ、撫でてるだけなのに。これで満足なの? もっと何かして欲しいことがあるんじゃないの……?」 「あっ……っ♥ ん、うん♥ もっと……♥」 「何をして欲しい……?」 「いつもみたいに♥ ……っん♥」 「いつもって……?」  郁は次第にもどかしくなってきた。このやりとりは、いつもの事なのだ。だから、煌也は全て解っているはずだった。なのに、郁が言うまで、しない。して欲しいことは、全部知っているはずなのに。 「……っあ……っ、……っん、イジワル……」 「イジワルじゃないよ、郁……」  ほら言って、と促されて、郁は、渋々口にする。 「……抓ったり、舐めたり、噛んだりして欲しい……」 「解ったよ、郁……」  そう言いながら、そこを撫でていた指が、きゅぅっっと、抓っていく。 「ん―――……っ♥」  顎を仰け反らせて、郁は喘ぐ。 「気持ちよさそうだね」 「……っん♥ ……、うんっ、……っん♥ あっ、あっ……っああ……っ♥」 「郁……痛くされて、気持ち良くなっちゃうんだ」 「あっ……っん♥ ………っ、あっ、……っ♥ そんな、こと……っ♥」 「ココも真っ赤になってる……抓られて、噛まれて、痛くされるの、大好きだもんね、郁は……」 「っあん……っ♥ うん、好き♥ ……っああ♥」  びくっと身体が震える。 「……軽くイッちゃった……? ……もう、郁は、すぐなんだから……、じゃ……これね」  煌也は、傍らから、昼間買った胸に貼り付けるタイプのローターを取りだした。 「おっ、……あれで乳首責めか」 「郁ちゃん、乳首アレでされたら、イキ狂っちゃうんじゃない?」  ギャラリーが、楽しそうに実況している。 「これ……アタッチメントが幾つか有るみたいだけど……、ブラシみたいなので、こすこすされるのと、舌みたいなやつで、つんつんされるのと……どっちが好み?」  煌也の言葉を聞いた郁は、お腹の奥の方が、じゅん、と熱くなるのを感じていた。 「……とっても、郁は気に入ると思うけど……」  ブラシのようなもので、弄られたことはない。舌先で、つんっと突かれるのは、何度かされたことがあるが、それよりも、ねっとりと舐められる方が好みだった……。 「じゃあ……」  郁は、煌也の顔を見た。煌也は、郁の目の前で、アタッチメントを見せつけながら、いつも通り、薄い笑みを浮かべている。

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