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第15話 の間の玩具で楽しんでて
煌也からの返信は、結局、日曜中には来なかった。
返信が入ったのは、月曜の午後になってからで、
『返信、遅れてごめん。
今週はちょっと無理そう。
今からシンガポールに出張。
帰国は、来週の水曜予定だから、来週の金曜まで
浮気しないで待っててね』
というものだったので、なんとなく、拍子抜けしてしまった。
煌也がどんな仕事をしているか、郁は知らないのだが少なくとも、海外出張に行くような仕事と言うことだ。
『解りました。では来週』
素っ気なく返したら、しばらく時間が経って、
『今、やっと保安検査が終わったところ。
じゃあ、来週まで、俺の代わりに、この間の玩具で楽しんでて』
とメッセージが入って来た。
玩具よりも、煌也の方が良いんだけどな、と郁は思ったが、特にそれ以上は、何もメッセージを送らなかった。
(海外かあ……)
郁は、今、東京で働いているが、そこから海外に挑んでみたいとは思わない。
国内だけでも、持て余しているというのに、海外になど行くことが出来るだろうか。そういう気持ちが強い。
海外で働く人というのは、よほど特別で、特殊な人なのだと思っている。
(それより、来週末まで、長いなあ……)
郁は、思わず、ため息を吐いた。
部屋に帰って、夕食を食べ、シャワーを使う。
大体、そのあとは、動画を観て、適当な時間に眠るだけだったが……。
煌也としばらくセックスできないと思ったら、物足りなくてたまらなくなってしまった。
(……煌也も、ああ言ってたし……)
最近、煌也に言われて買ったり、煌也と一緒に買ったりした、アダルトグッズは、量が増えてきている。
どうせ、後ろは毎日馴らしているので、そこに、すこし、玩具が入るだけだ。と、郁は、気軽な気持ちで玩具を選ぶ。この間、ブルー・ムーンでも使った、エネマグラタイプのプラグと、あと、ローターだ。
シャワーは浴びてしまったので、身体は清められている。そのまま、ベッドにあがって、郁は、ローターをルームウェアの上から、乳首のあたりに這わせた。
「……ん……」
かすかな振動が、胸に伝わる。気持ちが良いが、快楽まで結びつくようなものではない。
少し、放したり、押しつけたりしているうちに、出力を上げていく。
「んっ……」
振動の強度がMAXになったとき、「んんんんっ♥」と甘い快感が、身体の奥を突き抜けている感覚があった。
「あ……っ……」
服の上からの刺激がもどかしくて、服を脱ぎ捨てる。
裸の胸、右の乳首に、ローターを当てると、腰がびくっと震えた。
「あっ、……、っっん……っん♥」
空いている左手で、左の胸を押し潰したり、摘まんだりしていくと、また、快感が走って、びくっと身体震えた。
「あ……っん♥」
「……あ……、きもち……い……♥」
ローターだけでも、十分に気持ちが良い。出来れば、舐めて貰う方が好きだし、歯を立てて噛まれるのも好きだったが―――振動だけでも、満足感があって、腰が動いてしまう。
郁の性器は、ゆるゆると形を変えて、硬度を伴って充血していた。
「あっ……っ、あっ♥」
手にローターを持ったまま、郁は自分の性器を手で握った。
「んんんんっんん……♥ あっ………♥」
自分の手を動かす上下の刺激の間で、ローターが、くぐもった音を立てながら振動している。
今まで、してきたことがない刺激に、あっという間に、イきそうになる。
「あっ……ヤっ……っ、ダ……ダメ……っ、も、イッちゃ……♥」
足がガクガクと震えて、身体がびくんっ、と跳ねる。手の中の欲望は、いよいよふくれあがって、呼気が乱れて、切羽詰まった感じがあった。
「ひっ……っあっ、あああああああ……っ♥」
顎を大きく仰け反らせて、郁は、絶頂を迎えた。
手の中に、生暖かい精液の感触がした。精液のぬめりを借りて、上下に動かし続けると、ぐちゅぐちゅという聞くに堪えないような、淫猥な水音が響く。
(あっ……、どうしよ……声……)
この間、ブルー・ムーンで、ギャラリーから『隣の人に声が聞かれてるんじゃ』と言われたことを思いだして、身体の奥が、ずん、と重く甘く疼いた……。
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