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第17話 電話をしながら

 達しても、達しても、また、玩具の刺激のおかげで、達してしまう。 「あっ……っあっ……♥」  口の端から飲み干せなかった唾液が伝っていて、性器からは、精液も漏れている。  身体は、びくびく震え、大きく喘ぎながら、胸が上下している。 「……っあ……♥ ……っ」  絶え間なく続く快楽を遮ったのは、着信音だった。 「え……、こんな時間に、誰……」  遮られた不満で、なんとなく不愉快な気持ちになっていた郁は、スマートフォンに表示されている発信者を見て、「あっ」と声を上げてしまった。 「……煌也だ……」  シンガポールに出張、と言っていたが……電話してくれたのだろう。 「もしもし、煌也?」  電話に出ると、電話先で少し、笑う声が聞こえた。 『……すぐに出た』 「……出なければ良かった?」 『いや、話せて良かった……まあ、別に用事はないんだが……』  なんとなく、煌也は歯切れが悪い。煌也の声を耳元に聞きながら、郁は、肌がなんとなく寂しいような気分になっていた。  玩具では、快楽は得られるが……、煌也の肌の与えてくれる熱はない。煌也の、匂いも、重さも、なにもない。  だから、なんとなく満足感が低かった。 「……あっ……っ♥」  奥の刺激に耐えかねて、甘い声を漏らしたとき、なんとなく、煌也がにやっと笑ったような気がした。 『郁、ちゃんと、言いつけを守って、自分でしてたんだ』  甘い甘い煌也の声が耳元にするのに、その吐息も、熱さも感じないのが不満だ。 「……してるよ……今、どんな感じか……当ててみて?」  郁の問いかけに『そうだなあ』と煌也が呟く。 『……電話を掛けながら出来てるんだから……、プラグかな。この間、お店で入れてみた、電動のエネマグラタイプのヤツ……』 「あたり……。なんで、わかるの……?」 『……なんとなくだよ。……でも、それ、気に入ったんだ。どこが気に入ったの?』 「えっ……っ?」 『どこが気持ち良い?』  煌也に聞かれて、顔が熱くなる。一旦、熱が引いたのに、また、ぶり返してきたような感じだ。 「……どこって……」 『……せっかくだから、聞いてみたくて。俺からは、見えないし』  煌也は、楽しそうだった。郁は、躊躇いながら、答える。 「ナカ……気持ち良いよ……♥」 『ナカ……。郁、スキだね。ナカは、何をされるのが一番スキなの?』 「……今は、ナカを……、指で、擦られるみたいに……されてて……んっ……♥ すっごい……気持ち良いよ……♥」 『へえ?』 「……もう、柔らかくて、とろとろだから……本当なら、煌也のが、欲しい……♥」 『……そうなんだ』 「うん。煌也ので、奥とか、ガンガン突かれて……、ナカに、一杯だしてもらうの……大好き……♥」 『ナカにすると、あとが大変なのに』  煌也が笑う。 「うん……っ、でも、……っ……ナカ……から、掻きだしてくれるのも……凄い、好き♥ イケないことしてるみたいで、興奮する……っ♥」  されているときのことを思い出して、また、身体が反応してしまう。  奥まで……、玩具や指の届かないところまで、煌也の、剛直で突かれるのが好き。無造作に、煌也のほしいままにされているのが好き。煌也の、精でナカがたっぷり満たされ突かれるときに、ぐちゅ、とか、どぷっ……という、聞くに堪えがたい音になるのが恥ずかしくてイヤらしくて凄く好き。ナカから、煌也が面白半分に掻きだしてくれるのも、好き……。 『……そうなんだ。じゃあ、日本に戻ったら、たっぷり、ナカをして上げるね』 「あっ、うれし♥ ……っあ、早く……っ、帰ってきて、煌也……♥」 『ったく、今すぐでも帰りたくなるようなことを言って……』 「……も、来週の……金曜まで……まてない……あっ♥」 『……じゃ、また、電話で、郁の可愛い所、聞いてて上げるから……今日は、もう、遅いから……このまま、寝ると良いよ』 「……うん……っえっ? このまま……?」 『入れたまま、寝ないでね……? ナカ、乾いて、怪我をするから。今日は、もう、オナニーは止めて……、明日にしてね。物足りなくても、ダメだよ。ちゃんと、綺麗にしてから、寝てね?』  まだ、煌也と、電話をしながらしたい。けれど、確かに、明日は会社だったし、これ以上起きているのは、デメリットの方が多そうだった。 「……うん」 『じゃあ、また……こっちが電話出来そうだったら、電話するよ』 「解った」  確かな、約束はしないまま、電話は終わった。  なんとなく、身体も、気持ち的にも満足出来ないまま、郁は、煌也に従って、ナカから電動プラグを取り出す。そこはかとない、むなしさを感じながら、郁は、シャワーへ向かった。  もう一度シャワーを浴びて、玩具も清めて置かなければならないからだった。  

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