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第15話

「心拍数が上がりましたね。慣れぬ空の上です。やはり勇者様といえども、お怖いのでしょうか」 「え、あ、はい。いえ」  返事ができない。  まさか、あなたに抱きしめられているからドキドキしている……なんて言えない〜 「大丈夫ですよ、ほら」  ぎゅ〜 「私がこうして抱きしめております。主様をお離しする事はございません」 「ヒャアァー」 「あぁ、なんて甘美なお声。もっと抱きしめて差し上げましょう」 「ウヒョォォー」 「気高くお可愛らしく囀る私の小鳥。私は主様の虜にございます」  だめだ。  もう限界。  俺の心臓、超新星爆発する。 「下を見ると、空中である事を認識して恐怖に囚われてしまいます。私だけを見て下さい。下さえ見なければ、何も怖くありませんよ」  超絶美形の顔が、こんなに間近に! (この唇が俺の額に触れて……)  キス!  超新星爆発の秒読みが開始されました。  カチカチカチカチ  3(スリー)  2(ツー)  1(ワン)  ちゅどーん!! 「ヒイロ様!?」

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