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第43話

 一体どうして俺は今、有力貴族諸侯から求婚されているんだ?  そもそも『受け様』ってなに? 「国語辞典オープン!『受け様とは、男性同士の性交時に陰茎を挿入される側である。好みの巨根を想像すると、後ろの窄まりが疼いて、パクパクしてしまう事がままある』」 「キャー!つか、疼きません!パクパクしません!勇者装備の国語辞典、勝手に使わないでー!」 「残念♠」 「残念でもありません!」  ふぅ、とゼフィルさんはため息を吐く。 「国語辞典オープン!は、くせになりますね」  にっこり。 (話をすり替えた。たくも〜) 「とにかく!俺は受け様じゃありません」 「しかし……」  神妙な面持ちで、マラカイト色の濃い碧眼を凝らした。 (どうしたんだろう) 「重要な事でも?」  こくりと一つゼフィルさんは頷いて見せる。 「事実、国内外からの縁談が後を絶ちません。そして彼らは有力貴族。貴族が何の勝算もなく動くでしょうか」 「それは……」 「貴族とは打算的で、根回しの上手い生き物ですよ」 「何の事ですか。俺は貴族と繋がってないです」 「承知しております。問題はそこではありません。勇者様と繋がろうと画策する貴族がなぜ皆、子息を差し出すのか……というところです。逆を言えば、子息を差し出せば勇者様と姻戚関係を結べると考える根拠は何か?」 「それはその……俺がう、受け様……という事だから?」 「正解です!ヒイロ様は受け様なんです!」  だからッ 「俺は受け様じゃッ」 「ストーップ!」  ぴっ  立てた人差し指が唇につんっと触れた。 「ではなぜ自称・受け様ではないヒイロ様が、なぜ受け様になったのでしょう?」

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