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第57話

「ほら、いるでしょ。クラスに一人。あれ、いたの?って奴。まさにそれが彼です」  碧眼が色素の薄い目をチラリと見やった。 「空気モブとは違う、存在感がない人。あれ、いつからいたの?とか。体育祭で絶対得意じゃない競技にいて、どうしたの?って聞いたら、そこしか空いてなかった。とか」 「あー」  なんか分かる。 「そのくせ余った給食のプリンは、上手い事かすめとってくんですよね〜」 「そうそう!」  あるある。  つか、異世界にも体育祭や給食のプリンあるんだ。 「その存在感を究極に薄めた存在が彼です」 「ほー」  ゼフィルさんの給食のプリン発言で、彼が偉大に見えてきた。 「って、あれ?いない」  さっきまで、そこにいた筈なんだけど? 「勇者様、こっちです」 「わうっ」  いつの間に?瞬間移動でもしたのか? 「これが彼の才能です」 「なるほど」  存在感が薄いと、普通の移動が一般人には瞬間移動に見えるのか。 「ミスディレクションは使っていません」  と、ゼフィルさんが解析する。 「それでこの瞬間移動はズルいですね」 「同意見です」 「そんな事ないですよ。カフェで順番待ちの列に並んでいても、よく抜かされます」 「それは悲しい」 「「って、わうっ!」!」  俺とゼフィルが同時に奇声を上げた。

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