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第64話
この国で一番偉い人。
俺は今から、その一番偉い人に会いに行く。
(王様!)
「ヒイロ様、どこへ?」
「もちろん王様に会いに行くんです」
王様だったらきっと……いや、絶対何とかしてくれる。
「謁見の間がどこかご存知ですか?」
ピタリと足を止めて、上半身だけ振り返った。
「どこですか?」
「お部屋を出て右。突き当たりまで進んだら……」
「分かりました!」
「まだお話の途中ですよ。それに、ほら」
「ひゃん」
「勇者様といえども、旅人装束では我が君主(きみ)との面会は罷りなりません」
そうだった!
俺、普段着のままだ。
ここに来る途中、執事さんに緋色のマントを羽織らせてもらってはいるが、マントの下は冒険者の旅人装束。
「って〜〜〜!」
服来てない。
上着どこ行った?
「おズボンも脱ぎましょう」
パチンッ
「ひゃん」
なんでっ?
「おズボンはいてない〜〜〜!」
ゼフィルさんが指を鳴らした瞬間、はいている筈のおズボンが消えてしまった。
(辛うじて、おパンツははいているが……)
マントにおパンツ……あと靴下。
完全に不審者だ。
「恥ずかしい〜」
「ブラ付けますか?」
「そうじゃない!」
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