65 / 172
第65話
ブラなんか付けたら変態だ。
(変態不審者……)
いや、不審者そのものが変態なのだが。
このままでは俺、露出狂になってしまう。
勇者は露出狂。
(まずい。それ、絶対)
子ども達の憧れの勇者が、変態露出狂はだめ、絶対。
「ゼフィルさん、服返して下さい」
変態装束では王様に会えない。
つか、王宮からつまみ出されてしまう。
「大体、俺の服どこへやったんですか」
「転送しましたよ。ヒイロ様が魔王討伐の旅に出ている間に、魔法都市計画を一気に施工しまして、単純な物でしたら王都内では簡単に転送できます。物流が恐ろしく迅速になったお蔭で経済効果が爆上がりです」
「すごい」
「えぇ。我が君主は、魔王討伐後の先の世界まで見据えておられますので」
さすが世界に名を轟かせる強国・アルファング国王だ。
王様は常に新しい世界を創っている。
歩みを止めず、停滞しないから、国民の皆も前を向く。
笑顔で未来に進むんだ。
「それで服は?」
「……」
「ゼフィルさん、俺の服」
「……」
「ゼフィルさん?」
「あっ」
「ちょっとぉ〜」
『あっ』てなに?『あっ』って。
その不安にさせる『あっ』は。
「転送先を設定するの、忘れました」
はァァァー?
「その場合、どうなるんですかっ」
ともだちにシェアしよう!

