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第65話

 ブラなんか付けたら変態だ。 (変態不審者……)  いや、不審者そのものが変態なのだが。  このままでは俺、露出狂になってしまう。  勇者は露出狂。 (まずい。それ、絶対)  子ども達の憧れの勇者が、変態露出狂はだめ、絶対。 「ゼフィルさん、服返して下さい」  変態装束では王様に会えない。  つか、王宮からつまみ出されてしまう。 「大体、俺の服どこへやったんですか」 「転送しましたよ。ヒイロ様が魔王討伐の旅に出ている間に、魔法都市計画を一気に施工しまして、単純な物でしたら王都内では簡単に転送できます。物流が恐ろしく迅速になったお蔭で経済効果が爆上がりです」 「すごい」 「えぇ。我が君主は、魔王討伐後の先の世界まで見据えておられますので」  さすが世界に名を轟かせる強国・アルファング国王だ。  王様は常に新しい世界を創っている。  歩みを止めず、停滞しないから、国民の皆も前を向く。  笑顔で未来に進むんだ。 「それで服は?」 「……」 「ゼフィルさん、俺の服」 「……」 「ゼフィルさん?」 「あっ」 「ちょっとぉ〜」  『あっ』てなに?『あっ』って。  その不安にさせる『あっ』は。 「転送先を設定するの、忘れました」  はァァァー? 「その場合、どうなるんですかっ」

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