89 / 172

第89話

「お兄様からのご褒美だよ♡」  だからっ!語尾の♡?♡なにっ?  今の、今のは~~~ 「陛下、ヒイロ様が困惑しておられます」  背後、王剣を預かる兵士さんが声をかけた。 「それに『お兄様』という呼び方も、ヒイロ様が……」  かツン  靴音が響き、王さ...…お兄様が兵士さんを見返った。 「ヒィッ……ななっ、なんでもございません!!国王陛下、ばんざーいッ!!」  どうしたの?  急に万歳?今、そういう話だっけ? 「……次、話に水を差したら殺す」 「ころ?」  声小さくて聞こえなかったんたけど。 「あぁ、何でもないよ。こちらの話だ」 「はぁ」 「そうだ。夕飯はコロッケにしよう。ヒイロもコロッケ好きだろう。もちろん城で食べて行くよね」 「お邪魔でなければ」 「邪魔であるものか!シェフに伝達。晩餐はコロッケだ!キタアカリのコロッケとズワイ蟹のクリームコロッケは必須。後はシェフのお勧めで」 「御意」  扉近くの兵士が敬礼して駆けていく。  お兄様……漆黒のマントを翻して手を掲げ、無駄にカッコいい。コロッケのオーダーなのに。  それにしてもお兄様。よく俺の好きなコロッケの種類知ってたなぁ。 (でも、一番の好物はマルスさんの手作りコロッケなんだけどね♪)

ともだちにシェアしよう!