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第91話

 鏡の中の俺を一刻も早く亡き者にしたい。  否、それはだめだ。  俺が死んでしまう。  うううっ、俺がクマちゃんになってしまった。 (一応~) 「国語辞典オープン」  ……『クマちゃんカチューシャとはパーティーグッズである。中でもアルファング国王直々に手渡されたクマちゃんカチューシャは、特別である』 (特別って)  なんだろう? 「魔力付与をしている。防具としても優秀だよ。そこらへんの兵士の装備なんかとは比べ物にならない」  そこらへんの兵士……って~~ (王国騎士を大切にして下さい)  クマちゃん装備に負ける甲冑って、どうなんだろう?  魔力の無駄遣いだ。  ……ん?クマちゃん装備って? 「まさかお兄様」 「もちろん、しっぽも付いてるよ!」 「なにィ~!」  いつの間に!?  俺の大切な正式礼装・紫盧遮那装(しるしゃなしょう)にふわふわ、クマちゃんしっぽが付いてる~ッ 「とてもよく似合ってるよ」 「♠️」  全然嬉しくない。 「晩餐は君の祝勝会も兼ねている。主役に相応しい装いだ♥️」 「♠️」  どこが。

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