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第92話

「うさちゃんカチューシャと、にゃんにゃんカチューシャも用意している。お色直しできるからね」  ……え。 「もちろん、しっぽも付いてるよ」  祝勝会、出たくなくなってきた。 「にゃんにゃんカチューシャを付けたら、語尾に『にゃん』を付けるんだよ」 「嫌です」 「却下です」  却下されたァァー!  俺に選択の余地がない。 「これは私からの君への感謝の気持ちだ。受け取らないとは言わせないよ」 「うううっ」  感謝という名の言葉で擬装した横暴だ。 「ヒイロ。君にはね、感謝してもしきれないんだよ。何か褒美をと思っている。ほしいものはあるかい?」 「そんなっ、マルスさんの事を調べて下さっただけで十分です」  マルスさんが生きている。それだけで朗報だ。俺一人の力では安否すら分からなかったのだから。  これからは俺が探そうと思う。  マルスさんが何をしているのか?どうして会えないのか。  会って話そう。会いに行こう。  マルスさんを探す旅に出よう。  勇者として世界に希望をもたらした……と王さ……お兄様は言ってくれたけど。 「俺、もうお兄様にご褒美頂いていますよ」  お兄様がマルスさんの事、俺に希望をくれたんだ。

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