92 / 172
第92話
「うさちゃんカチューシャと、にゃんにゃんカチューシャも用意している。お色直しできるからね」
……え。
「もちろん、しっぽも付いてるよ」
祝勝会、出たくなくなってきた。
「にゃんにゃんカチューシャを付けたら、語尾に『にゃん』を付けるんだよ」
「嫌です」
「却下です」
却下されたァァー!
俺に選択の余地がない。
「これは私からの君への感謝の気持ちだ。受け取らないとは言わせないよ」
「うううっ」
感謝という名の言葉で擬装した横暴だ。
「ヒイロ。君にはね、感謝してもしきれないんだよ。何か褒美をと思っている。ほしいものはあるかい?」
「そんなっ、マルスさんの事を調べて下さっただけで十分です」
マルスさんが生きている。それだけで朗報だ。俺一人の力では安否すら分からなかったのだから。
これからは俺が探そうと思う。
マルスさんが何をしているのか?どうして会えないのか。
会って話そう。会いに行こう。
マルスさんを探す旅に出よう。
勇者として世界に希望をもたらした……と王さ……お兄様は言ってくれたけど。
「俺、もうお兄様にご褒美頂いていますよ」
お兄様がマルスさんの事、俺に希望をくれたんだ。
ともだちにシェアしよう!

