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第101話

「あぁ〜、そんな事か」 (そんな事って……)  王家の血が途絶えるのは一大事じゃないのか。歴史の長いアルファング王国ならば尚の事。 「君はそんな事を心配してたんだね」 (またそんな事って言った!)  そんな事じゃない。 「最重要事項ですよ!」 「些事に過ぎない」  極めて冷静なお兄様だけど。 「お世継ぎは?」 「君が産めばいい」  …………………………へ? 「いま、なんて?」 「君が産めばいい、と言った」  仮面の下の唇がクスリと笑った気がした。 「エエエェェエエーッ!?」 「これでお世継ぎ問題は解決だ」 「ちょっと待って!俺、男です」 「知っているよ」 「男は子ども産めません!」  世界全人類の常識である。 「それも知っているよ」 「もしかしてお兄様はお姉様?」  でも、それじゃ俺に子どもを産めとは言わないな。 「私も男だよ。そしてαだ」 「αって……」  なに?

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