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第102話

「ヒトの性別は雌雄で全てβ。聞き慣れなくて当然だよ」 「はぁ……」  また記号が出てきた。 (αとかβとか)  言わずと知れたギリシャ文字である。  以前の世界では星座の中で一番明るい星、二番目に明るい星といった等級を表す時に用いたけど…… 「人の等級ですか」 「少し違うね。確かにかつての世において、Ωが虐げられてきた歴史が存在するが、Ωがα、βに劣っていたという事実はないよ」  また新しい記号が出てきた。 「Ω?」 「そう。君がΩになればいい」 「??」  ますます話が分からないぞ。  整理しよう。  人間は全てβらしい。 (βをΩにする?)  そもそもβって、なに?  Ωって?  αも出てきた。  βカロテン  それは栄養素だ。  じゃあ、何かの数式?  だめだ〜  頭の中がグルグルする〜  まるで理解できない。 「一足飛びに話してしまってすまないね。君が困惑するのも無理はない。一つ一つ、順を追って話すよ」  お兄様によると、  生物の性別第1性と第2性がある。  第1性が雌雄の区別。  第2性がα、β、Ωだ。  あまり知られていないが、人間以外の生物にも、この第1性と第2性があるがいるらしい。  しかし、ほぼ全ての生物の第2性がβせいであるがゆえに、人はこの第2性の存在に気づかなかった。 「先程、ヒトは全てβ性だと言ったが、実は例外もあるんだ。突然変異でα性が生まれる事がある」  私はα性だ。  ……と、お兄様は言った。

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