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第110話
「『雄Ωは、雌の生殖機能である受精し妊娠する事ができるが、本来の雄の生殖機能である精子を生産する事ができない』……そうなんだ」
ん?……って事は〜
「しゃっ、しゃ!」
できなくなるの〜!?
「正確には放精ができなくなる。精子以外の精液の成分はちゃんと作れるから、お射精はできるよ」
「なーんだ、そっか」
ほっ
(んん?ほっ、て……)
安心していいのかな?
「つまり、種なしって事だね」
「〜~~♠️」
全然よくない!
「あぁ、それでね」
戸惑う俺を尻目に、またしても話は勝手に進んでいく。
「タマありΩとタマなしΩで受精率を比較した結果、タマなしΩがわずかながら高いという結果が出たんだ。雄Ωの受精率は非常に低い。タマを取る事によって、少しでも受精率を上げる事が大事なんだよ」
「あのっ」
俺、Ωになるとは一言も〜
「心配しなくていいよ。迷信などではなく、信頼できる施設からのデータだ。実は、この第2性の発見は魔族なんだ」
「魔族って!?」
「そう。君も知っての通り、魔物の上位種を魔族と呼んでいる。言ってみれば魔物のエリートで、魔力・知能も高く、一部の魔族は人間を凌駕する。次の魔王に最も近い存在だ」
「それ、危険なんじゃ」
「危険だから、我々は研究する。危険排除のため」
まさかの考えがドキリと心臓に脈拍を刻んだ。
「お兄様は、魔物の殲滅を……」
「第2性の発見は研究の副産物だよ」
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