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第112話
それをさらっと言うのは……
「ズルい」
「大人とは常にズルくあるべきものだよ」
そういうところもズルいな。
答えであって、答えじゃない。
難しい顔をして……フフ、と彼は笑った。
「大人の特権だね。それにね、今は平和を謳歌するのが正しい。私も君もそれは分かっている」
魔王との戦いで先頭に立った君と、
国を守る戦いで先頭に立った私だから。
「笑おうか。私達が笑えば、皆が元気になる」
「はい」
答え、教えてもらってないけれど。
そんなふうに言われると不思議と安心する。これもお兄様が大人だからなんだろうか。
口許に少し微笑みを浮かべたら、お兄様も安堵の笑みを浮かべたみたいだった。
仮面の下は分からないのに、変なの。
「あぁ、ところで」
「はい。なんですか」
心の霧も晴れたから、声も明るい。何だったろう?と聞いてみた。
「君のタマの事だけど、いつ取ろうか?」
「キャアァァァー!」
その話こそ、霧の中深くに置いといて二度と出てこなくていいのにー!
「君さえ良ければ、早速手配を……」
プルプルプルプル〜
「おや?首を振って、否定しているのかい?……タマ、取りたくないのかい?」
ブンブンブンブンッ
そうそうそうそう!絶対ヤだ!
「困ったね、取らないと受精率が落ちるのだが」
ブルブルブルブル〜((( ;゚Д゚)))
「おやおや?君が震えて出してしまったよ。医療体制は万全だよ。少し眠っている間に終わっているよ。痛くないから……」
ガクガクガクガク((( ;゚Д゚)))
「大丈夫……じゃなさそうだね」
フゥっと仮面の下で溜め息が漏れた。
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