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第114話

 そう……この世界には♂×♂のお見合いにおいて、秘部の写真を添付する珍妙なしきたりが存在する。 「どうだった?私のムスコは?」  そういや、ゼフィルさんが褒めろとか何とか言ってたような〜 (嫌だ!)  俺はマナーのなってない勇者でいい。 「ヒイロ?」  沈黙していると、いぶかしげに仮面が俺の顔を覗き込む。 (感想も何も……) 「……」  そもそも、お兄様の写真なんてあったか?  仮面は目立つ。どれだけ山積みになっていようとも、仮面の人がいたら絶対覚えている。 「俺、お兄様の写真は見てないと思います」  賢いぞ、俺。  完璧じゃないか。この答えならお兄様も俺も、お互い傷つかずに済むぞ。 「そうだったか」 「はい。いくら何でも仮面の人がいたら、記憶に残ってます」 「それはないぞ」 「えっ?」  俺の記憶力、侮られてる? 「婚前で素顔は見せられないからね。君に見せる意義を感じなかったから、仮面の写真は映さなかったよ」 「それじゃ……」 「映したのは性器の写真のみだよ」 「ギャアアァアァァアアー!!」  あった。  アレのアップだけの顔写真ないやつ。  愉快犯の変態! 「へんしつ」 「ん?」

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