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第120話

 じゃあ、あの魔法は?  人が使えない、存在すら知らない魔法を、なぜあの人は…… (簡単に使って見せて)  俺と一緒に空を飛んだ。  でも、その魔法は人間は使えないんだ。  あの人は、王国で開発された新魔法だなんて、どうして嘘をついたの? (まさか、あの人が)  次なる魔王の実力を持つ、上位魔族 「でもあの人はッ!」  執事さんは、 「俺に危害を加えませんでした!」  俺をただ、王国まで運んでくれただけなんだ……  命を奪おうと思えば、いつだってできた筈だ。  けれど、俺を人質にすら取ろうとしなかった。 (夕焼けの広場で、普通に別れた)  普通に話をして。  普通にまた合えるって。  そう思っていた。  たった、それだけの言葉を伝えるのが難しくて。  たった、それだけの言葉なのに怖くて。  胸が苦しい。  肺の中に重りが吊り下がっているようだ。 「現時点で、その者が無関係だとは断定できない」  言葉の厳しさとは裏腹に、声はひどく穏やかだった。 「容疑を晴らすのは難しい」  息を切らして上下する肩に手を置いて、背中をさすってくれる。 「だが君が真実を教えてくれれば、容疑を晴らす手がかりになるかも知れない」  君を連れてきたのは誰だ?

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