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第127話

 鎖国で情報が乏しい。何をどう警戒すればいいのか?  それすら分からぬまま……  ガツン  ガツン  ガツン  ガツン  男が一歩、歩みを進める度、居並ぶ近衛騎士団が槍の柄を床に振り下ろす。  威圧にも、男は物怖じする様子はない。  足まで覆う外套が衣擦れする。  また一歩  ガツン  また一歩  ガツン  男が面前へと歩みを進め、近づいてくる。  ガツン……  歩みが止まった。 「アルファング国王陛下におかれましては、ご機嫌麗しゅう。この度は急な申し出にも関わらず、拝謁のご許可を賜りました事、恐悦至極にございます」  低い声だった。  男は跪くと、恭しく美しくお辞儀した。 「我が面前でフードは非礼である」 「おや?」  フードで隠れた口許がわずかに吊り上がった。 「国王陛下も、ご尊顔をお隠しになられていらっしゃるようですが?」 「ほう?我が素顔、見せても良いのだが?」 「これは失敬。陛下の御素顔を目にした者は死ぬ、と……我が国でも、貴国の古き慣習の話は聞いておりますので」  男は立ち上がった。 「非礼をお許し下さい」  バサリ  足元に外套が落ちた。 「お初にお目にかかります。ガルディン公国太政大臣・相国イザナイ・エル・クレハと申します」 (イザナイ!)  ハッとした。  いざない=誘い  誘う。引いては導く者。 (あの人も転生者?)  おれの名前がヒイロ=ヒーローで勇者だ。  イザナイ=民衆をいざなう政治家。  まさか、そんな。  偶然なのか?それとも…… 「勇者様。あの者はハーピィです」 「あっ」  俺の隣、王剣を預かる近衛兵さんが教えてくれた。

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