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第128話

 驚きを隠せない俺を、相国の姿を見たからだと思ったらしい。 「……ハーピィ、ですか?」  今は憶測だ。『イザナイ』の名前については触れない方がいいだろう。  思いきって、兵士さんに話を合わせる。実際、ハーピィについて俺もよく知らない。 「勇者様がご存知ないのも無理ございません。ハーピィは稀少種ですからね。元々数が少ない上に、人との接触はほとんどありません。目撃例も稀です」  真っ白い翼  天使かと思った。  二枚の純白の大きな翼を背中に携える。氷のようなアイスブルーの瞳。少し青みを帯びた長い髪は、後ろで一つに結っている。  美しい……  目の前の若い男が天使だと言われたら、そうだと信じてしまう。俺が今まで見てきた魔物とはまるで違った。 「ご油断召されぬよう。魔物のほとんどが長命です」  あのハーピィ…… 「相国も見かけ通りの年齢ではないのですね」 「ご推察の通りです。文献によると、ハーピィの人でいう成人年齢はおよそ百歳」  若く聡明な見た目。二十代後半から、三十代半ばくらいに見えるが。 「百歳……いや」  政治の実権を握り、国の中枢を掌握している。事実上の支配者だ。 「二百歳を超えているかも知れませんね」 「えぇ。長命な分、我々よりも知恵にも策謀にも長けているでしょう」

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