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第132話

(認めたら……)  認めぬ事で国家間が均衡を保っているんだ。  ガルディンを国家として認めたら、新たな勢力が誕生する。  それも、魔族の……  人類と魔族  新しい関係の構築  融和  もしかすると、今よりも一歩踏み出した平和な世界を実現できるかも知れない。  けれど……  人と魔物は争い続けてきた。  途方もなく長い年月を、  人が何世代も世代を変え、長命の魔族すら世代交代を繰り返す長い年月を、命を潰し、命の代償に命で贖い、人も魔物もあまたの命を失って争い続けてきたのだ。  魔王討伐直後で、人の魔物への遺恨は根深い。  そんな状態で魔族の国家を認めたら…… (人類の国同士で新たな火種を作る)  認める者と認めない者  互いの主張を認めぬ者との間で争い、人間の国家間で戦争が…… 「畏れながら、この場で即答をお願い致します」 「ならば答える。ガルディンを国として認める事を、アルファング王国は非とする」 「左様で……」  相国に動揺はない。想定内と言ったところなのだろうか。  お兄様の答えで、人類同士の戦争は回避されたけど。 (まさか、ほんとうに相国は人間の国家の戦争を目論んで?) 「であるならば」 (やはり!)  仮にもし、そうならば、ここで相国が大人しく引き下がる訳はない。 「貴国のガルディン隣接地域を割譲頂きたい」

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